このブログでは、私のライフワークである旅、滝めぐり、ラーメン食べ歩き、食レポート、温泉/旅館/ホテルなどについて、徒然に綴っています。→ [ 詳細 ]
平成27年3月15日。
2年ぶりにこの宿を訪れた。
恐らく、、、
東日本大震災がなかったら、この宿を2回も訪れることはなかったと思う。
こんなことを言っては大変に失礼だが、東日本大震災がなかったなら、この宿の昭和時代から変わらないそのままのスペックを考えると、閉館していたかもしれないなぁとすら思う。
しかし、しかし、、、
南三陸にあるこの宿は、震災を経験し、乗り越え、日本中の他の宿とは一線を画す価値を持つ宿として今に存在している。
この宿は一言で言えば「命を見つめる宿」。
この宿の客室や風呂から見える長閑な海は『命』を考える海だ。
命を考えさせてくれ、見つめさせてくれる温泉なのである。
のんびりと温泉に浸かってかまわない。
でも、そこから見える海に消えていった命、だれかを守り人に貢献して亡くなっていった人々に一瞬でも祈りを捧げたい。
そんなことを感じさせてくれる、唯一無二の宿である。
上記したように、ハッキリと申して昭和時代からのままの館内で、朝食時には巨大なバイキング会場と化す大宴会場やゲームコーナー、カラオケルーム、クラブ、スナックなど、首都圏周辺の温泉地では無くなりつつある、団体様が慰安旅行で訪れるような宿。
でも、震災を経て、今では随所に復興への取り組みと語り継ぐ使命感を感じさせてくれる。
今回訪問時には「3.11からの記憶」と題して、ロビーの一部を使用して、3.11当日からの写真展を開催していた。
売店前では震災当時からのビデオも上映されていた。
また、この宿に宿泊したら必ず利用したいのが「語り部バス」である。
2回の宿泊のどちらも筆者は乗車したが、語り部さんや行くコースも違っていたので、様々な話が聞けた。
60分のコース中、あの時勇敢だった日本人たちに思いを馳せて、何度も涙ぐんでしまう。
この企画、永続的に続けていって欲しいし、永続的にやっていくことに意義があると感じる。
また、語り部さんと言ってもこの宿のスタッフの人なのだが、この人たちの「喋り」も失礼ながら上手い。
感情と実感がこもっているからだろう。
また、温かな人柄も伝わってくる。
これはこの宿のスタッフの人たちにも言えることで、2回利用した中で不快な思いをしたことがなく、皆、温かく接してくれる。
これもこの宿の魅力の一つ。
数々の宿を見てきた筆者として、なかなか珍しいと思う施設が一点。
サウナである。
普通、海が見える温泉や露天風呂は多かれど、この宿ではサウナからも海が見える。
汗をかきつつ、静かなる志津川の海を眺めるのも一興だろう(ただし、水風呂はない)。
南三陸 志津川の町。
震災後4年が経つが、今もまだ、すべて無くなってしまったままである。
残念ながら筆者は、町があった頃の空気を知らない。
でも、防災庁舎などの残った建物を見、何もない更地となった町を見、海の凪と風の音だけを見聞きして、数多くのことを学ばせてくれる町になった。
これから町がどうなっていくのか、筆者ごときが軽々に言えることではない。
ただ、ほんの少しでもこの町で食べ物を食べ、土産を買うことで、復興に貢献していければと思う。
その拠点として、是非何度でも利用したい宿である。
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