Live鑑賞 ~ KIRINJI 25th Anniversary Live at LINE CUBE SHIBUYA

2024年5月25日土曜。

Live鑑賞 ~ KIRINJI 25th Anniversary Live at LINE CUBE SHIBUYA


Live鑑賞 ~ KIRINJI 25th Anniversary Live at LINE CUBE SHIBUYA



出演:
堀込高樹(Vocals/Guitar)
小田朋美(Vocals/Piano/Synthesizers)
シンリズム(Guitar/Chorus)
千ヶ崎学(Bass/Contrabass)
伊吹文裕 (Drums)
宮川純(Keyboards)
MELRAW(Sax/Flute)
華波(Sax/Clarinet)
具志堅創(Trumpet/Flugelhorn)
川原聖仁(Trombone)




<Set List>
1.ムラサキ☆サンセット
2.ネンネコ
3.虹を創ろう
4.一度きりの上映
5.愛のCoda
(ここまで弾き語り)
(以下、アコースティックKirinji)
6.まぶしがりや
7.薄明
8.きもだめし
9.fugitive
10.猫の声
11.Drifter
12.あの人が歌うのをきいたことがない
①歌わない人
②聞こえない声
③なに?これ!
④ダイアルに手をあてて
⑤君はいつだって
⑦目と目が合った
⑧終

=== 第2部 ===
(ここよりエレクトリックKirinji)
13.ブロッコロロマネスコ
14.時間がない
15.非ゼロ和ゲーム
16.LEMONADE
17.killer tune kills me
18.休日の過ごし方
19.Almond Eyes
20.「あの娘は誰?」とか言わせたい
21.After the Party
22.再会
23.かどわかされて
24.I ♡ 歌舞伎町
25.朝焼けは雨のきざし
26.明日こそは/It’s not over yet
27.イカロスの末裔
28.Pizza VS Hamburger
アンコール:
29.Rainy Runway
30.Runner’s High
31.進水式(弾き語り)



Kirinjiのライブは、2022年3月以来、実に2年2ヶ月ぶり。
ただ、その時のライブはブルーノート東京での特別バージョン(絵本「あの人が歌うのをきいたことがない」を中心としたセトリ)でアコースティックKirinjiだったし、その前の2021年8月のZepp Hanedaでのライブもまだまだコロナ真っ只中でのたった12曲、1時間強のライブだったことを考えると、ちゃんとした?バンドとしてのKirinjiを聴けるのは約4年ぶりということになる。
そして今回25thアニバーサリー。

さすがに25周年を銘打っているだけに、まず第一の感想は、ここ何度かのKirinjiライブの中で一番のライブだった!!である。
なんせ全31曲。
休憩を挟んで3時間に及ぶライブ。
この25年、とりわけ泰行氏脱退後のあらゆるKirinjiを詰め込んでみました!なセトリ。
そして、個人的にはライブを見ることが出来なかったこの2年分の聴きたかった楽曲を総ざらえしてくれました!なセトリでもある。

そういうわけだから、弾き語りに始まり、アコースティックKirinji(ピアノにアコースティックベース、そしてドラムと高樹氏のギターのカルテット)、エレクトリックKirinjiと、この10年強で示してきたあらゆるフォーマットの音楽を聴かせてくれた。
まーとにかく、堀込高樹という人が作る楽曲は、それがどんなフォーマットだろうと美味しく調理されるし、古さをまったく感じさせず、どこまでも新鮮、である。

冒頭5曲は完全弾き語り。
いきなり「ムラサキ・サンセット」から涙が出そうになるではないか。「愛のcoda」しかり。
特に「一度きりの上映」は、まだ兄弟キリンジだった時にソロ名義で出したアルバム内の曲で、滅多に演奏されないので白眉。

「まぶしがりや」からは千ヶ崎さんのベースとともに。
そしてpiano & drums登場。
見れていなかったこの2年の間に、新たにレギュラー的に加わっているVocalでありピアニストの小田朋美さんは初見だったが、新生Kirinjiバンド時代のコトリンゴさん、弓木ちゃんとはまた違う味わい。
足して2で割ったのとはまた違う。ある意味キャラが強烈だった2人なだけに、ともすると歌い方が「ぽく」なって、2人に寄せていってしまいがちな所をさすがに自身のものに昇華させておられました。
特に「fusitive」はコトリンゴさん無き今、もう歌われないと思っていたので、久々に聴けて嬉し。
そして、アコースティックKirinjiのある意味でトリを飾ったのは「Drifter」。
この曲も長らく歌われていなかったろうし、20th記念ライブの時は兄弟キリンジ復活で、泰行氏が歌っていたので、高樹氏が完全に歌うのは初めてじゃなかろうか。
そういう意味でも胸熱。

そして、さらに「あの人が歌うのをきいたことがない」を全曲演奏。
全曲演奏はブルーノート東京以来?
というか、あのライブを見れた人自体が少ないだろうから、ここで全曲演奏することに価値あり。

と、アコースティックKrinjiはまだまだ聴けたし、このままでも良かったくらいだけど、ここで一度休憩。
そして第二部のエレクトリックKirinjiへ。
ここまでは座って聴いていたオーディエンスも、さすがにスタンディング。
筆者もたまらず立つ。

冒頭から「時間がない」「非ゼロ和ゲーム」「LEMONADE」と畳み掛ける。
特に「Lemonade」や「After the party」は弓木ちゃんがいない今となってはもう聴けないと思っていただけに、聴けてなにより。
ついぞ弓木ちゃんでの「LEMONADE」は音源化されなかったので、小田さんバージョンで出してほしい。
「After the party」は、弓木ちゃんとは年齢が違う分、小田さんが歌うと「大人な」雰囲気。
ただの酔っ払い女子の歌かと思いきや、最後に「そういうことか!」という歌詞なのだが、そこが曲調も相まって泣けてくる。
ともすると、現代の曲は頭の中のスクリーンに情景が思い描けない曲が多いが、この曲ははっきりとそれが頭の中で思い描ける曲。
堀込高樹氏の作る曲は、そういう曲が(テーマがヘンな曲も含めて)多い。

「かどわかされて」は、これまた一体いつぶり?な曲。
オールドファンには感涙すぎる、捨て曲なしだったデビューアルバムの掉尾を飾る曲だ。
これをホーンを入れての総勢10人で演奏されては堪らない。

そう、エレクトリックといいながら、これまでのライブと全く違うのは、ホーン隊が4人いること。
そこが、アコースティック感も大事にする堀込氏の、この日にやってみたかった音楽の一つなのではないか。
筆者も今までMELRAWさんのみのホーンが加わったのは聴いたことがあり、それだけでも新鮮だったのだが、今回は4人を贅沢に使い倒す。
aikoも毎度ホーン隊がいるけれど、あくまでアクセント的な役割で、ここまでずーっとほぼ後半出ずっぱりでホーンがいてくれると強力。
音の厚みがハンパない。

昨年出されたあらゆる曲の中でも個人的にMVPな名曲「I ♡ 歌舞伎町」から、「朝焼けは雨のきざし」「明日こそは」と畳み掛け、これまた兄弟アーリーキリンジ時代の名曲「イカロスの末裔」では大盛り上がり。もちろんこれらの曲もホーン隊も含めた10人体制でやるから分厚い音で魅了される。
本編最後は「Pizza VS Hamburger」で締める所も高樹兄貴らしい。
アンコールで「Rainy Runway」と、最新アルバムの冒頭からぶっ飛ばす「Runner’s High」で永遠が見えそうになって、最後は再び兄貴一人で、新生Kirinjiの第一声であった「進水式」で終了。

もちろん、まだまだ聴きたい曲を挙げ出したらキリがないけれど、本日に関しては皆、大満足ではなかろうか。

だれかがXで呟いていたが、普段の生活でまず逢うことがないKirinjiファンが、LINE CUBE渋谷に全国から2000人集っていることが奇跡(もちろんチケットはソールドアウト。この日は生配信もあった。)。
前々から書いているが、Kirinjiの音楽は人に勧めにくいし、良さが分かってくるまでに時間もかかるし、ほぼメディアに露出することがないし、高樹さんの歌が上手いというわけではないし(失礼!でも以前に比べて随分上手くなった)、代表曲などと言われる「エイリアンズ」などいくつかの曲は弟のものだから今のKirinjiでは歌われないし、、、と、諸々の要素が重なって、難しい部分もあるのだが、いっぺんハマれば付いて行ってしまう魔力がある。
なんというか、取材拒否のラーメン屋で、店主の愛想も決していいわけではないんだけれども、味が確かだから客が来る、みたいな感じ。

MCで高樹兄貴も言っていたが「25年やってきて、今ココ、、」くらいの感じで、兄貴の中ではただの通過点に過ぎないのだろう。
兄貴も50代。60代、70代、さらに上のKrinjiがどうなっていくのか、今後も目が離せない。

このブログに掲載している、過去のKirinji(キリンジも含む)ライブ一覧。
Live鑑賞 ~ KIRINJI “Blue Note Tokyo Live 2022” at Blue Note Tokyo
Live鑑賞 ~ KIRINJI SPECIAL LIVE 2021 ~SAIKAI~ at Zepp Haneda
Live鑑賞 ~ KIRINJI LIVE 2020 at NHKホール
Live鑑賞 〜 KIRINJI PREMIUM 2019 at Billboard Live TOKYO
Live鑑賞 〜 KIRINJI 20th Anniversary Live「19982018」at 豊洲PIT
Live鑑賞 〜 KIRINJI Tour 2016 at 品川ステラボール
Live鑑賞 〜 KIRINJI PREMIUM 2015 at Billboard Live TOKYO
Live鑑賞 〜 Kirinji(キリンジ) at 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
Live鑑賞 〜 Kirinji(キリンジ) at ビルボードライブ東京
Live鑑賞 〜 Kirinji(キリンジ) at オーチャードホール
Live鑑賞 〜 キリンジ at NHKホール
Live鑑賞 〜 キリンジ at ラフォーレミュージアム六本木
Live鑑賞 〜 キリンジ Live at 横浜BLITZ 2011
Live鑑賞 〜 キリンジ 10th Anniversary Premium Live 2008 at 中野サンプラザ
Live鑑賞 〜 キリンジ Live at CCレモンホール 2008
Live鑑賞 〜 キリンジ live at 日比谷野外大音楽堂 2007
Live鑑賞 〜 キリンジ Live at 渋谷 C.C.Lemonホール 2006


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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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