Live鑑賞 〜 Kirinji(キリンジ) at ビルボードライブ東京

2014年6月13日 金曜。


Kirinji Live at Billboard LIVE Tokyo
~BBL SPECIAL NIGHTS~

キリンジ(Kirinji)メンバー
堀込高樹/田村玄一/楠均/千ヶ崎学/コトリンゴ/弓木英梨乃

ちょうど半年前の2013年12月13日金曜に渋谷オーチャードホールでライブを行って以来、今度はビルボードライブ東京に登場。
いよいよ新生キリンジとしてのアルバム発売を今夏に控え、果たして半年でバンドがどのように変化しているか。

<セットリスト>
1.黄金の舟
2.僕の心のありったけ
3.fugitive
4.ジャメヴ・デジャヴ
5.お針子の歌
6.Ripples (featuring:田村玄一)
7.進水式
8.雲呑ガール
9.ONNA DARAKE!
10.シーサイドシークェンス〜人喰いマーメイドとの死闘篇
11.絶交
– Encore –
EN1.ナイーヴな人々
EN2.今日も誰かの誕生日


まず、開演前に一縷の期待を抱いていたのは、新生キリンジとしてあくまでこの1年封印(?)してきた、昔のキリンジの曲、ことに弟である泰行さんのボーカルがハマっていた名曲たちを果たして新バージョンで演奏してくれるか?ということであった。
結論から言えば、また今回もそれら至極の名曲たちを演奏することはなかった。おあずけ、である。


では不満足なライブだったかというと、さにあらず。
僕は新生キリンジがかなり好きだ。
それはもちろん堀込高樹氏の創る楽曲と詞が大好きだからだ。
でもそれだけでなく、堀込高樹の世界を新生キリンジメンバーが厚みと表現力を増して演奏してくれているからだ。


基本的には新生キリンジとしての新曲を中心に演奏された。
兄弟時代は兄弟どちらかが歌うのが常だったが、新生キリンジは高樹さんだけでなく、コトリンゴさんも、弓木さんも、ドラムの楠さんまでもがメインで歌う機会があり、コーラスを含めれば全員が歌う。
さらに、各人がそれぞれいくつもの楽器を演奏する。
パットメセニーグループよろしく「楽器なんでも屋」も存在する。
以前は兄弟だけがキリンジで、他はサポートメンバーだったが、今は全員がキリンジの一員として表現していくから音の厚みというか責任感が増している気がする。


新生キリンジをライブで見るのはすでに3回目なのであるが、1回目のWorld Happiness 2013の時はギターの弓木さんがいなくて、前回弓木さんも含めて初のライブ。そして今日。
前回はホールライブだったので、今日ライブハウスの近さで見て、あらためて感じたことは、弓木さんとコトリンゴさんの存在感の大きさだ。


この2人、今までのキリンジでは絶対なかった要素である。
それは女子だ、ということも大いにある。
今までのキリンジはなんだかんだで男のバンドだったが、この2人の女子が入ったことで、まずステージの見栄えが全然違って見えるようになってきた。そして、女子ボーカルや女子コーラスが入ることで楽曲に幅が出てきた。
さらに何と言っても、弓木さんの弾きっぷりである。
ギターに加えバイオリンも演奏するのであるが、実に楽しそうにノリノリで弾くのである。
悪い意味でなく、コトリンゴさんタイプのキーボード女子は他にもいるが、弓木さんのようなタイプのギター弾き女子をほとんど見た事がない。
黙々と歌い、演奏する高樹さんの横で楽しそうに弾く弓木さんの対比が(高樹さんがどこまで計算してやっているのか分からんけれど)、脱退した泰行さんの穴を埋めるのに重要な要素であるように感じた。
(弓木さん、相川七瀬さんのサポートの時にはノリノリロック女子に変貌するのだろうから、どれだけ幅が広いのか)


もちろん、ビジュアル的に泰行さんが好きだったファン、泰行さんの作風が好きだったファン、声が好きだったファンは、彼が率いる「馬の骨」を見に行くことになるだろうし、新生キリンジは不満かもしれぬ。
ただ、キリンジの楽曲面から好きだったファン、高樹さんの作風が好きなファンは、むしろ表現の幅が広がったことで新生キリンジはかなり良いのではないかと思う次第である。


新曲は、どれもスルメソングになりそうだ。
「fugitive」はここ3回のライブで覚えてしまったし、新生キリンジのランドマーク曲とも言える「進水式」はすでに名曲である。
高樹さんはやりたいことをやりたいように演れるようになって冴え渡っているのではないか。


「黄金の舟」や「僕の心のありったけ」、「今日も誰かの誕生日」などはあらたなアレンジが加わって良し。
「今日も誰かの誕生日」で後ろのカーテンが開き、東京の夜景を借景にステージと一体化。
高樹さんの創る、唯一無二のシティポップが東京の夜景に合う。


前々からキリンジはビルボードでライブをやってきたが、これからも定期的にKirinjiとしてライブをやって欲しいと願うばかりであった。
秋のツアーも楽しみだ。


分かりにくいけど、ステージとバックの夜景

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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