Live鑑賞 〜 Mike Stern Band Live at BlueNote Tokyo 2014

2014年6月20日。

Mike Stern Band Live at BlueNote Tokyo





MIKE STERN/RANDY BRECKER/BILL EVANS SUPER BAND
featuring CHRIS MINH DOKY & DENNIS CHAMBERS

マイク・スターン /ランディ・ブレッカー/ビル・エヴァンス スーパー・バンド
featuring クリス・ミン・ドーキー&デニス・チェンバース


Mike Stern(g)
マイク・スターン(ギター)
Randy Brecker(tp,flh)
ランディ・ブレッカー(トランペット、フリューゲルホーン)
Bill Evans(sax)
ビル・エヴァンス(サックス)
Chris Minh Doky(b)
クリス・ミン・ドーキー(ベース)
Dennis Chambers(ds)
デニス・チェンバース(ドラムス)


<Set List>
1.COUPE DE VILLE
2.TIT FOR TAT
3.DIPSHIT
4.WING AND A PRAYER
5.SNAP DRAGON
EC.SOME SKUNK FUNK
EC2.ブルースセッション


年に一度のスターン詣。
いつものように、いつもの曲で、いつもの感じで始まり終わる、、、安心のライブのはずだった。。。

何か音楽的なハプニングとか、今年のライブMVPにならないのは分かっている。
でも、普通に期待値くらいのスターン節を聞かせてくれる。それで良いのである。
それが20年以上毎年変わらずに見せてくれるスターンの姿。
まして、このメンツなら、安心だ。

しかし、違った。。。


今日のライブはデニスチェンバース(以下デニチェン)に尽きる。

デニチェン、激ヤセ!

あくまでドラマー重視で展開してきたこのブログなので、今回はデニチェン中心で書く事をお許し頂きたい。
ライブ前、デニチェン激ヤセの報は聞いていた。
どの程度のものなのか、これは実際に見て聞いてみないと分からない。
不安になりつつブルーノートへ向かう。


果たして、ステージに現れたデニチェンは、もし事前にその報を聞いてなかったら、僕ですら「誰だか分からない」ほどに痩せていた。
現にオーディエンスからは「え??デニチェン???」「痩せた。。。」の声が方々から上がっていた。
Twitterなどでも「別人だと思った」との声があった。
激ヤセというのは、ちょくちょく有名人でニュースになるけれど、僕としては他の誰よりも一番衝撃の痩せ方である。
で、正直に言えば「おぉっ!いいね、デニチェン、ダイエットに成功したね!」ではなく病的に見える痩せ方なのである。


あくまで情報として、であるがマネージメントサイドの発表は「ダイエットに成功」だそうである。
でも、、、その割には腹がポッコリ出ているではないか。
それ以外の部分が痩せ細り、今までデニチェンの頬骨なんて見た事なかったがクッキリと見え、明らかに筋肉量が落ちている。

これ↓がいわゆる今までのデニチェン

激ヤセのデニチェン画像はもちろん無いので、ブルーノートのライブレポートページの写真を参考にして戴きたい。


今まで20年に渡り、ライブでデニチェンを見てきた人間として言うと、もしダイエットなのであれば、「デニチェン、商品価値がなくなってしまった」である。
あれだけ太っていたのが健康のためにイイとは言わない。
けれど、今回のライブを見るにつけ、フツーのJazz/Fusionドラマーに成り下がってしまった感がある。


もちろん、プレイ自体は痩せたからと言ってテクニックが落ちるわけではないから、そこらの趣味でやってるドラマーよりは全然上手い。
しかし、その野太い手足から繰り出され、他を圧倒するパワー&テクニックでアーティストを後ろから煽り倒し、世界を席巻し、世界中のドラマーに影響を与えてきたパワーの源である身体の芯が削り取られてしまった感がある。
だから高速フレーズが出て来ない。
思いっきりシンバルを鳴らすこともない。
タム回しもほんの少し(3つもタムいらない)。
片足でやっていた2つ打ちフレーズをツインペダルを利用する(筋肉量が落ちてるからだと思う)。
タイム感は削り取られるはずはないのに、スリップビートのソロでズレたり弱々しい。
グルーヴ感も落ちている。


もう、何から何までどうしちゃったの??である。
演奏を素直に楽しむなんて、とてもじゃないが出来なかった。


それはもちろん、世界のドラマーの中でもトップの1人だったからこそ、残念至極なのだ。
デニチェンはスゴいよぉ〜〜と言われて連れてこられた若手が「これのどこがスゴいの?」となってしまうだろう。


常々、僕はライブはドラムだ!と言っている。
プロドラマーのダイナミクスや音量などはどんな音響機器を使ってもライブには勝てぬ。
しかし、この日のドラムの弱いこと弱いこと。


なんだか、他のメンバーは元気が良かっただけに、みんなでデニチェンを介護しているような感じすらした。
デニチェンよりずっと年上のランディブレッカーが調子良くて、介護してもらってどないするよ?デニチェンさん。
僕がこれだけ思うのだから、長年一緒にやってきたスターンやビルエバンスがそれを感じていない筈がない。
なんだろう?リハビリに付き合っているのだろうか。
だとしたら優しいよなぁ〜と思う(ただ、身銭切って見に来てるファンには失礼という側面もあるが)。


僕は同じような体験を一度している。
ピアニストのマッコイタイナーである。
マッコイも大学1年の頃から毎年のように見ていて、毎回高水準でマッコイ節を聞かせてくれていて、Jazzな夜を堪能出来る幸せなライブだったのに、ある時から全く弾けなくなってしまった(これは病気らしい)。
パワー型でイケイケのプレイをしていた人が、そのプレイが出来なくなってしまうのは見ていて本当につらい。
以後、マッコイのライブは見るに耐えなくて見ていない。


もう一度書くが、あれだけ太っているよりはダイエットした方がいいとは思う。
そして、デニチェンのようなパワー型のドラマーの場合、いずれは筋肉が衰える日がくるのだから、老齢へ向けてプレイスタイルを変化させていく必要もあるだろう。
そこへ持って行く過渡期、というのならまだ分かるから、是非復活して欲しい。


レジェンド中のレジェンド、御年89歳のロイヘインズは老齢でも叩けるようにプレイスタイルの改造をした。
5年前に逢った時、とても84歳とは思えぬ身体で腕の筋肉量は豊富、常に握力を鍛えるマシーンを持っていた。
デニチェンはモダンドラミングに革命的に影響を与える存在だったわけだから、このまま過去の人になるのではなく、ロイのように鍛えてデニチェンならではのドラミングを魅せてほしい。
今のプレイだと、とてもじゃないけどサンタナやナイアシンのバックで叩けないよ。


マイクスターンご本人は相変わらずの絶好調。
リチャードボナに影響を受けてか、最近は少〜〜しだけ歌いながらソロをする。
そして、やる曲目も今回はランディやビルがいたこともあって、少し変化もあった。
だからこそ、デニチェンが昔のままだったらもっと盛り上がったのにな〜と残念に思う。


来年、また来てくれるだろう。
ここ最近、ドラマーはデイブウェックルが多かったので久々にデニチェンに煽られるスターンが見たいと思ったら、まさかの展開になってしまった。
正直、見ていて痛々しいので、これなら全然ウェックルが良かった。
そして、毎回書いているが、そろそろライオネルコーデューや、キースカーロックあたりのNYでは共演してる連中との絡みを見てみたい。
そして「Gossip」や「chromazone」あたりを聞きたいね。

【追記】
その後得た情報。ゲイリーハズバンドやブーツィーコリンズに寄れば、デニスチェンバースは肝臓の病気だったみたいで、緊急手術を受けたとのこと。
1日も早い回復を祈ります。

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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