幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]
2014年5月22日。
Jack DeJohnette Trio Live at BlueNote Tokyo
Jack DeJohnette Trio
featuring Ravi Coltrane & Matthew Garrison
ジャック・ディジョネット・トリオ
featuring ラヴィ・コルトレーン&マシュー・ギャリソン
Jack DeJohnette(ds,p)
ジャック・ディジョネット(ドラムス、ピアノ)
Ravi Coltrane(sax)
ラヴィ・コルトレーン(サックス)
Matthew Garrison(b)
マシュー・ギャリソン(ベース)
<Set List>
1.ATMOSPHERE
2.COUNTDOWN
3.ONE ON ONE
4.LYDIA
5.AFTER THE RAIN
6.SEGMENT
ジャックディジョネット。
一番好きなドラマーは?と聞かれたらなんだかんだでこの人である。
今や廃番となったシグネチャーシンバルも持っているし、中高生の頃から愛用のスティックはディジョネットのシグネチャーモデル。
もちろん他のスティックも使うけれど、最終的にはこのスティックが腕に一番馴染んでいて、ここぞという時にはこのモデルを使う。
キースジャレットのスタンダーズトリオでしょっちゅう来日はしているものの、
ブルーノート等のジャズクラブには長い間出演がなかった。ホール公演ばかり。
ブルーノートへの出演は、骨董通りにブルーノート東京があった1996年にジョンアバークロンビー&デイブホランドとのGateway Trioで出演して以来である。
僕も長いことブルーノートで様々なドラマーを見てきているが、ディジョネットのドラミングを間近で見たのはこの時の唯一回のみ。
そんなディジョネットが遂に久しぶりにブルーノート東京へ登場した。
ディジョネットがリーダーのバンドでの出演は20年ぶりだそうだ。
これはもう全ての予定を取っ払ってブルーノートへ駆けつけたわけである。
今回のトリオは、ジョンコルトレーンの息子 ラヴィコルトレーンと、
そのコルトレーンの黄金カルテットでベースを弾いていたジミーギャリソンの息子 マシューギャリソンというメンツ。
ラヴィは初見かな。
マシューは2009年にはマシューギャリソントリオ名義でライブを行っているし、見に行ってもいる。そもそもマクラフリンとの“The Heart of Things”バンドのベーシストでもあるわけだから、ある意味オヤジ以上に活躍していると言えよう。
で、演奏なのだが、もうほとんどフリーの世界。
聞いていて楽しい音楽とかノリノリとかそういう音楽ではないから、およそデート向きではないし、ジャズを聞きに行こうと思ってこれを一発目に聞かされたらイヤになるだろう。
僕はディジョネットの音楽ってこんなんだったな〜〜というのを思い出した。
彼の過去のバンド「スペシャルエディション」の曲なんかもそうなのだが、メロディーが独特で「なんかヘン」なのである。
この「ヘン」というのが言葉にするのが難しく、例えばウエインショーターの紡ぐ曲なんかもヘンには違いないのだが、ウエインの場合はそのヘンさがある一定のラインを越えると心地よくなってくる。
そしてそのヘンなメロディーの上に被さってさらにウエイン独特のヘンなソロを取り、絶頂を迎えるとこちらも何故か快感が襲う。
でも、ディジョネットの書くメロディーは、どこまでいってもヘン(失礼!)。気持ちよくはならない。
今回も演奏してる曲はコルトレーンの曲などもあるのだが、かなり崩しているので、ディジョネット独特のヘンさを醸し出す。
パーカーのSEGMENTが唯一の4ビート曲か。でも崩していくジャック。
要するに自己のバンドでは音楽の進化を求めているのかもね。
ディジョネットという人はもともとインディオの血を引いている。
その血から来る感性が独特なんだろうと思う。
だからドラミングも独特。
全然教科書通りじゃない。
ディジョネットのように叩くことは出来ても(それはそれでかなり難しいし、誰も真似しようのないフィーリングだが)、
ディジョネットが “誰かのように” 叩くことはない。
完全にオリジナルなドラミングをする。
だから、引く手数多なんだろうと思う。
ドラムが「よく歌っている」し、思いもよらぬ独自のフレーズで煽ってくれるから他の楽器奏者にすれば触発されるのだろう。
見いだしたマイルスを始め、チャールズロイド、ソニーロリンズ、キースジャレット、ハービーハンコック、チックコリア、マッコイタイナー、パットメセニー、ジョンスコフィールド。。。。枚挙に暇無し。
キース、ハービー、チックという3巨頭ピアニストと共演しているのがスゴいよね。特にキースと長らく共演してるのはスゴいこと。
そういう誰にもマネできない独特なドラミングが僕は好きなのよなぁ。
ドラマーの本田珠也さんによれば、
マイルスがディジョネットをバンドへ入れた時に言った言葉が
「リズムをぶっ壊すように叩け」
まさに、それを延々と追求していった結果が今日のディジョネットなんである。
もともとピアニストでもあるディジョネットは「After the rain」ではピアノも演奏してくれた。
このピアノ演奏もやっぱりフィーリングが独特で、そんじょそこらのピアニストより上手いというよりプロだな、と感じた。
総じて言えば、僕個人的には久々に間近で彼のドラミングを見られて満足ではあるものの、それ以外の「音楽の面白さ」の部分ではディジョネットがヘンなだけにモノ足りず。
マシューがかなり色んな音を出していて頑張っているし、ラビもいいサックスを吹くし、3人にしては音圧がスゴいんだけどね。
やっぱり彼がリーダーのバンドよりは、前にホーン奏者なりピアニストなりがいて、それを後ろから独特の感性でガンガン煽るディジョネットのドラムが見たい。
さて僕の中で大きな大きな収穫は、終了後にロビーでサイン会をしてくれたこと。
御歳70歳を超え、まだまだ元気であるけれど、今後日本のジャズクラブに出てくれるとは限らないから、もしかしたら最初で最後かもしれない、神の手に握手。
いや〜〜アルバムのジャケットいっぱい持っていっておいて良かった。
最近は学生時代と違って、別にサインも写真も興味がなくなっていたけれど(貰い尽くしたというのもある)、さすがにディジョネットとなるとね。
↓ハービー/メセニーとの「parallel Realities」や、死ぬほど聴いてる今は亡きブレッカーの「Tales from the Hudson」にサインして貰ったのは大きい。キースのスタンダーズは厳選して1枚に。
ドラムはもちろんSONOR。
小口径のタム3つにフロアタム1、フロアタム程度の(ロックドラマーのフロアタムより確実に小さい)バスドラ。
シンバルはもちろんSABIAN。
ライド1、クラッシュが2、スプラッシュ2、チャイナ1(これだけ廃番のシグネチャーモデルだと思う)
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