Live鑑賞 ~ 立川談春 35周年記念公演 ~玉響-tamayura~ 第四夜 ゲスト aiko at シアターコクーン

2019年8月30日。

立川談春 35周年記念公演 ~玉響-tamayura~ 第四夜 ゲスト aiko at シアターコクーン


立川談春 35周年記念公演 ~玉響-tamayura~ 第四夜 ゲスト aiko at シアターコクーン


立川談春
ゲスト aiko


<Set List>
落語「紙入れ」 談春

~婀娜っぽいおはなし~ 談春&aiko

ライブ aiko
1.夏が帰る
2.夢見る隙間
3.自転車
4.宇宙で息をして
5.beat

休憩

落語「文違い」 談春
アンサーソング aiko 「月が溶ける」

アンコール カブトムシ(アカペラ)



aikoは去年の11月30日Love Like Pop Vol.20以来。
談春師匠はずっと見てみたいと思っていた落語家の一人で、やっと今回初!である。

「チケットが取れない落語家とチケットが取れないアーティスト」の2人がコラボでライブして、立ち見を少し入れたとしても収容人数800人弱のシアターコクーンで、、、と見れる事自体が奇跡のようなライブだった。
そして奇跡を上乗せすると、aikoという人はフェスとかイベントとかにまずほとんど出演しない。にも関わらず、ある意味フェスなどは自分のステージ時間だけ登場して後先関係なしに自分のライブを披露すればいいことだが、今回のように他のアーティストもほとんどやった事がないような落語との本格的なコラボライブという難易度の高いライブによく出演OKしたな、という事である。

ただ、この件に関しては「知らぬが仏」の極みのようで、談春師匠がそういうaiko側の事情を全く知らずに軽い気持ちで依頼したようである(あくまでステージ上のMCを聞く限り)。
知らないからこそ大胆な行動ができる、ということか。
いや、受けたaikoも大したものなのか、aikoもaikoで知らぬが仏なのか。

いったいどこから書けばいいのか、とても難しいところだが、まずは談春師匠。

筆者も幼少の頃から桂文枝(当時は三枝)師匠の落語をよく聞き、東京に出てきてから寄席も何度か行っているし晩年とはいえ今は亡き桂米朝師匠、今年の七夕に亡くなられた笑福亭松之助師匠、談春師匠の師匠である立川談志師匠、5代目三遊亭円楽師匠、桂歌丸師匠、、、らの落語(話芸)をライブで見られたことは人生の財産。
そうは言っても、いわゆる落語マニアの人たちからしたら以下に書くことはまだまだ到底浅薄な知識であることはご勘弁。

演者が違えば、話も変わってくるのは当たり前とはいえ、談春師匠の落語は今まで聴いた落語家さんのどれともまた違った味わいだった。
なんというかな、憑依度合いが群を抜いていると言おうか。
最近は俳優としても活躍されている談春さんだが、俳優をしているから上手いのではなく(当たり前)、落語中の演技力が凄すぎて使われているという事がよくわかった。
話をしている、という段階を完全に抜け出て、今まさに目の前でその話が起こっていてそこへ客席を没入させていく感じ。

本人も仰っていたが、35周年記念公演だから、自分のファンの人にたっぷりと独演会で長講の一つでも聴いて愉しんで貰えばいいものを、長年のファンが全くチケットが取れないような会を演ってしまうという破天荒さ。
どんなジャンルでもある事だけれど、マニア(熱烈なファン)がそのジャンルを壊してしまうことはある。
他の者、一見さんを受付なくしてしまったりするのだ。
アーティスト側としても自分の熱烈なファンの前でやることを目標にやってきたのであろうし、そうしたファンの前でパフォーマンスをする方がよほど気持ち良くラクにやれるはずなのに、そういったものをぶち破りたい、落語すら聞いたことがない層を相手に喋りたい、という思い。
このあたりがいかにも立川流と言おうか、談春さんの気概を感じるものであった。

aiko。
上記したように、よくぞこんな場所に出て来たと思う。
実際かなり緊張していたようにも見受けられた。
ただ、それでも突っ込んでいく潔さ。
というよりも、談春さんの熱というかホンマもん加減に押されたような気がする。

なにしろ、アルバムにも入っていない、シングルのカップリング曲という、「そこ?!」とaikoファンでも思ってしまうような曲をインスピレーションにして「包丁」と「文違い」という演目を2夜演じるわけなので、aikoとしても嬉しかろう。
そう、その「月が溶ける」という曲をモチーフに、まだ落語を演れる、と談春さんは仰っていた。
逆に談春さんのおかげで「月が溶ける」の良さを再認識したファンも多いのではないかと思われる。

ライブの方はさすがに落語との絡みだし、シアターコクーンという会場も考えて、アコースティック仕様。
ベースだけはエレキだが、ツインギターはどちらもアコギ。
ドラムもちゃんと佐野康夫さんで、相変わらずメリハリの利いたドラミング。
その佐野さんドラムセットもいつもよりかなり小口径のバスドラム。
これもaikoライブとしてはかなり珍しい、貴重な編成。

8月30日のaikoと言えば、Love Like Alohaを茅ヶ崎で行う日ということで「夏が帰る」からスタートというのも粋な演出。

さすがに気合が入っていたのか、aikoもかなり声が出てて、ここ一発仕上げてきたな〜と思わせてくれた。

終演後も、落語にはカーテンコールとかアンコールなんてないのに鳴り止まぬ拍手。
そこでaikoが「カブトムシ」のサビを特別にアカペラで。
ただ、この一瞬のアカペラ以外は、いわゆる有名曲を演奏したわけではないので談春ファンにaikoがどう映ったかはなんとも言えない。
でも、談春師匠がこれだけ攻めたのだもの、aikoもこのセットリストで良いと思う。
「自転車」では泣いてる人もいたくらいだから。

そして、落語をあまり知らないaikoファンにも談春落語は響いていたように思われる。
空気で分かる。
そんな素敵な会。

パンフレットは、文庫本じたて。
ここに今回参加した各アーティストとの対談が載っている。
ハッキリ言えば、この本を買って読まないとライブは完成されない、と言ってもいいくらいである。

この本を談春さんは、バンドメンバー一人一人にまで手書きでメッセージを書いて渡しているという。
そういった心配りというか、人を大事にして楽しませようという思いが細部に渡って施されたライブ(敢えてライブと言う)だった。

この企画、勝手に言わせてもらえば、是非またやって欲しい。
落語側からもアーティスト側からも、双方が響き合って新鮮な聞こえ方や新たな解釈が生まれるライブに思うから。
それが聴いてるぼくらだけでなく、演っている談春さんとアーティストさんたちこそ、最も影響を与えられているようにすら思う。

現時点で、今年印象に残るライブの筆頭であった。

過去のaikoライブ鑑賞ブログ(Love Like Pop Vol.10以降のみ)
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.20 Live at NHKホール その2
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.20 Live at NHKホール
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.17 Live at 中野サンプラザ
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.15 add.at 横浜アリーナ
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.15 at NHKホール
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.14 at NHKホール
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.13 add at 代々木第一体育館
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.12 at NHKホール 2010
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.11.5 at 日本武道館 2008
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.11 at NHKホール 2008
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Rock Limited at Zepp Tokyo 2007
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.10 add.at 横浜アリーナ 2007
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.10 at 中野サンプラザ




現状での最新映像作品

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2 Responses to Live鑑賞 ~ 立川談春 35周年記念公演 ~玉響-tamayura~ 第四夜 ゲスト aiko at シアターコクーン

  • わんお31 says:

    初めまして。わんお31と言います。
    文章上手いですね!
    リズムと言葉のチョイスが小気味よいです。
    五文字先を読みたい、の連続で一気に読んでしまいました。
    言葉を使う仕事に従事されておりますでしょうか?
    突然のコメント失礼しました。

    わんお31

    • Ocean says:

      初めまして。コメントありがとうございます!
      お褒めの言葉、恐悦至極です。
      そうですね、ある意味言葉を扱う仕事をしていますが、モノを書くということ自体は好きで続けているだけなので趣味の範疇ですね。
      今回の「玉響」は、書きたい事がありすぎて、まとめるのに頭の整理がちょっと大変でした。
      書くことが全然ない!っていうライブ(ほとんどありませんけど)よりは、嬉しい悲鳴ですけども。
      あらためて、コメントありがとうございました!

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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