幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]
2016年6月3日。
Mike Stern Trio with special guest 渡辺香津美 Live at BlueNote Tokyo
Mike Stern Trio with special guest 渡辺香津美
マイク・スターン・トリオ with special guest 渡辺香津美
Mike Stern(g)
マイク・スターン(ギター)
Kazumi Watanabe(g)
渡辺香津美(ギター)
Dennis Chambers(ds)
デニス・チェンバース(ドラムス)
Teymur Phell(b)
テイモア・フェル(ベース)
毎度この時期恒例のスターン詣で。
ぼくが上京したての学生時代からこの人だけである。まったく変わらないのは。
「変わらない」というのは様々な意味で、である。
もちろん歳はとったものの、風体も変わらない。音楽そのものも変わらない。
言ってることも変わらない。演奏する曲も変わらない。
でも、自然とライブに足を運んでしまう。
それはやっぱり観ていて気持ちよいから。
そしてスターンそのものが明るいキャラクターで、楽しそうにギターを弾く(ギターを弾くのが楽しいんだろうな〜と思わせる)のも大きい要素。
そして、変わらないために「永遠に微調整」し続けている、とも言える。
この人の場合、毎度書いているが周りのメンツを手を替え品を替えてくることで鮮度を保っている。
さて、今回その鮮度を保つ役割を担うのは我らが日本の渡辺香津美である。
今回のライブのポイントは大きく2つ。
1、スターンと香津美がどういう化学変化を起こすか
2、デニスチェンバース(以下デニチェン)は果たして病気から復活できているのか
である。
(次点としては、ベースのテイモアフェルの力量)
1から。
今までスターンのブルーノートライブにおいての日本人起用は小曽根真さんだけである。
2007年と2013年。
Live鑑賞 〜 Mike Stern Band Live at BlueNote Tokyo 2007
Live鑑賞 〜 Mike Stern Band Live at BlueNote Tokyo 2013
これがまた小曽根さんの器用さも相まって、化学変化を起こしまくり、結果的にはドラムのデイブウェックルがリーダー、ベースのトムケネディも引き入れて、別のバンドができたくらい。
Live鑑賞 〜 Dave Weckl & 小曽根真 Acoustic Band Live at BlueNote Tokyo
さて、香津美さんとはどういう反応をするのか、変にスターンが香津美さんに気を遣ったりしはしないか。
その変が危惧されたが、なんのなんの、気を遣うどころか、スターンはどこまで行ってもやっぱりスターンであった。
誤解を恐れずに言えば、いつものバンドでサックスやキーボードを入れるのと同じような扱いを香津美さんにもしていた感じだ。
だから基本的には演奏する曲もスターン曲。それを香津美ソロフィーチャーでやる、の形。
そのかわり、いつものサックスやキーボードとは違い、そこはギター同士なのでギターバトルになるのは新鮮でおもしろいし、楽しいったらありゃしない。
お互いに永遠のギター少年というか、弾きまくっていた。それを後ろで嬉しそうに見やるデニス。
もっと香津美さんペースになっても良かったとも思うが、このフォーマットはやっぱりスターンバンドなわけで、これで良し。
スターンの癖の強い曲を自分流のソロに料理していた香津美さんはさすがの音楽生活45年である。
2について。
とにもかくにもデニチェンの健康が心配されたが、一言で言えば「戻ってきつつある」か。
2年前のスターンバンドでのデニチェンは心配になるほどに酷かった。
Live鑑賞 〜 Mike Stern Band Live at BlueNote Tokyo 2014
一時「デニチェン 病気」などで検索すると本ブログが検索結果の1ページ目に表記されたほどで、「デニチェン激ヤセ」は2014年におけるフュージョン&ドラム界の大ニュースであった。
結果的には肝臓の病気だったそうで、緊急手術まで受けたらしい。
あの時はもう本当に同一人物とは思えないほどに弱々しかったので「デニチェン、終わったのか。。。」と思ったのだが、去年あたりからYoutubeでアップされている動画を見る限り、少しずつ回復しているように見受けられた。
しかし、我が目で確かめなければ分からぬ。
で、結論から言えば「6、7割戻ったか」という感じ。
全盛期を知っている者としてはまだまだパワーが戻っていないように感じる(と言っても、そこらのドラマーより全然上手いのだけれど)。
今までのスターンバンドであれば、長いデニチェンのソロコーナーもあったのだが、今回はほぼ無し。
また「CHROMAZONE」においては、スネアをレギュラーグリップで叩いていて、昔ならマッチドグリップで後ろからガンガン煽っていただけに、それも謎。
前は重戦車という感じだったが、今は大型トラックといった感じか。やっぱりパワーが落ちている。
そうは言ってもよくここまで戻したな〜とも思う。あの激ヤセからここまで戻すだけでも大変だったろう。
ぼくはこれを機に繊細さを組み合わせた方向のドラミングでもいいのでは、と思っている。
大レジェンドであるロイヘインズ師匠も叩き方を変えたことで90歳を超えても叩き続けているだけに、身体をパワー一辺倒から変えるのもアリだ。
今やドラム界のレジェンドであり、この人なくして現代ドラムは語れないと言ってもいいほどに後進に影響を与えたデニチェンだけに、今後の動向に注目したい。
ベースのテイモアフェルは、音を一つ一つ置きにいくタイプであまり主張はしない(か、遠慮しているか)。
もっともっと後ろからグイグイいってもいいのではないか、と思ってしまう。
まだ成長途上か。
そして、やっと念願の「CHROMAZONE」が聞けたのは感無量。
最近は演奏曲も同じ曲が多かったのだが、スターンはまだまだカッコいい曲を持っているわけなので、ぜひとも古い曲ももっと演奏して欲しいところだ。
来年も「変わらないための微調整」をして、またオーディエンスを楽しませて欲しいものである。
「CHROMAZONE」の入っているアルバムだが、スターンの場合はやはりライブで見るに限る。
タイム・イン・プレイス
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