Live鑑賞 〜 Dave Weckl & 小曽根真 Acoustic Band Live at BlueNote Tokyo

2015年9月23日 水曜。

Dave Weckl & 小曽根真 Quartet Live at BlueNote Tokyo


ブルーノート正面

ウェックルセット2


Dave Weckl & 小曽根真 Acoustic Band
featuring TOM KENNEDY & GARY MEEK

デイヴ・ウェックル&小曽根真
featuring トム・ケネディ&ゲイリー・ミーク


Dave Weckl(ds)
デイヴ・ウェックル(ドラムス)
Makoto Ozone (p, key, Hammond B3 organ)
小曽根真(ピアノ、キーボード、ハモンドB3オルガン)
Tom Kennedy(b)
トム・ケネディ(ベース)
Gary Meek(sax)
ゲイリー・ミーク(サックス)


<SET LIST>
1.WHAT HAPPENED TO MY GOOD SHOES
2.SOMETHING’S HAPPENING
3.STAY OUT
4.KOOLZ
5.AGUA DE LA MUSICA
6.IMPROVISATION
7.NOTHING PERSONAL
EC.THE CHICKEN


ウェックルがついに自己名義のバンドで日本上陸である。
自身が長い間組んできたエレクトリックフュージョンバンドの方ではなく(それはそれで見てみたかったが。。)、小曽根さん入りのアコースティックバンドだ。
何も今回のために小曽根さんが入ったバンドではない。
デイヴと小曽根さん、そしてトムケネの3人のケミストリーがどれほどおもしろく、深い音楽を創造していけるかはぼくは身をもって知っている。
2年前、2013年8月のブルーノート、マイクスターンバンドに小曽根さんが加わったライブがそれであった。

Live鑑賞 〜 Mike Stern Band Live at BlueNote Tokyo 2013

この時のライブレビューにぼくは以下のように書いている。
『(トムと)小曽根さんとデキちゃってんじゃないか、と思うくらい、2人の掛け合い、音の会話、アイコンタクトを取りながら演奏する様は、観ていて飽きない』
『これにウェックルも絡んで、化学反応を起こすから演奏が良くならないわけがないのである。
小曽根さんがソロを弾く時には、ベース=トムケネディ、ドラム=デイヴウェックルというトリオになるから堪らん。』


このスターンバンドのライブの時にはすでにトリオでの形が出来ていて、3人でやったらおもしろいのに。。とぼくは感じていた。
特に小曽根さんとデイヴの即興演奏でのデュオは見事なものだった。


そんな中で翌年(2014年)にはゲイリーミークを引き入れてバンド結成と聞いたものだからワクワクしたものである。
Trailerを見てはウキウキ、春には欧州ツアーの模様が小曽根さんのFacebookにアップされていたので、日本に来るのを今かと待ちわび、今日に至ったわけである。
(ただし、本日小曽根さん本人から聞いたところによると、もっと前からバンドをやろうという話はあったそうで、小曽根さんの都合で延びていて今になったそうだ)


この4人。
とにかくバーサタイルであらゆるジャンルのリズムや演奏スタイルに対応でき、超絶技巧なのであるが、まったくそれを感じさせない。
なにが一番大きいかというと、とにかく楽しそうに演奏するところ。これに尽きる。
スゴイことをやっていても涼しい顔で、アイコンタクトを取りながら音で会話している。
もうそれだけでずっと聞いていられるのである。


今宵は、デイブ&小曽根、デイヴ&トム、デイヴ&ゲイリーとそれぞれのデュオで即興演奏を披露してくれたが、どこへ行くか分からない演奏で真剣なのに、やっぱり楽しそうだからこちらもゴキゲンである。
このゴキゲン感は、ジャズならではで、バリバリのファンクとかラテン系のゴキゲンとはまた違う楽しさなのだ。


その昔、スウィングジャーナル誌では毎年年末に各楽器の人気投票をやっていたが、今ならアコースティックベース部門でぼくが票を入れるなら間違いなくトムケネディだ。
それほど、この人のベースは素晴らしい。
ソロでは魅せてくれるし、ゴリゴリ弾くタイプ。
音楽を推進させる力はハンパない。その上で小曽根さんと丁々発止の掛け合いもする。
このバンドの陰のキーマンである。


小曽根さんはハモンドオルガンも含めてもちろん大活躍で、この人がバンドの音楽表現をより拡げているのは間違いないところ。
やはり、3人が中心で、ゲイリーは脇役に徹しているのであるが、要所要所ではキッチリと盛り上げるソロを取ってくれていた。


さて、もはや「御大」と言っていいデイヴ。
相変わらずソロは美しい。
で、ハッキリ言えば、もうデイヴくらい叩けるドラマーは世の中にはいっぱい登場し、若手の台頭も著しい。
ただし、さすがに30年近くドラム業界の最前線で引っ張ってきているだけあり、昨日今日のドラマーと圧倒的に違うのは「ドラムでの表現力」である。
これはもう圧倒的と言っていい。
リズムをキープするとか、ソロが超絶技巧とか、そういうものを超えた表現の幅の広がりを感じずにはいられない。
なんだかここ最近のデイヴは、ある一定ラインより上に行ったなぁと感じる瞬間である。
ほぼ同時期のドラムスター、デニスチェンバースが病気で前線からいなくなった今、彼の分も引っ張っていって欲しいと願う。
デイヴは前々から世のドラム好きな人々のツボを知っているというか、CDにしろライブにしろしっかりと「魅せて」くれるのも嬉しいところ。
今宵も超満員の観衆を何度も沸かせるソロを存分に取ってくれた。あらゆるリズムで。


個人的には「Nothing Personal」をやってくれたのは感慨深い。
やはり故マイケルブレッカーを思い出して、若干涙ぐんでしまう。
そして、なんとアンコールに「The Chicken」をやってくれたのも嬉しい。
不肖 ぼくが今でも楽器仲間と「セッションしよ!」となるとチキンは筆頭に出てくる1曲。
デイヴがエレクトリックのバンドでも取り上げているのは知っていたが、まさかこの4人でやってくれるとは。
当然の如く、ただのセッションに終わらない超絶技巧合戦のチキンであった。


さて、このバンド。今後はどうなるのだろうか。
まずはワールドデビューの今年は、最前線のJazzを披露してくれて世界のオーディエンスが大満足と言ったところだろう。
でもでも、これだけフレキシブルな4人だから、まだまだ何とでも変化していける。
若い世代とまた違う(と言っても若々しい4人だけれども)、この4人ならではの進化形Jazzを見せて欲しい。


デイヴのセット。
ヤマハ&セイビアン。
フロアタムの横にティンバレス。ハイハットの横にもう1つフロアタム。
ウェックルセット1



まさにこのバンドのスタジオ盤オブ・ザ・セイム・マインド

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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