Live鑑賞 〜 Michel Camilo Trio Live at BlueNote Tokyo 2016

2016年4月8日。

Michel Camilo Trio Live at BlueNote Tokyo 2016


MICHEL CAMILO TRIO 正面

ステージ正面から

Michel Camilo Trio
ミシェル・カミロ トリオ

Michel Camilo(p)
ミシェル・カミロ(ピアノ)
Cliff Almond(ds)
クリフ・アーモンド(ドラムス)
Lincoln Goines(b)
リンカーン・ゴーインズ(ベース)


2014年末以来のミシェルカミロ。
その時は、今回の3人にホーン3人が加わったセクステット “Three + Three” としてのライブ
その前年はビッグバンド、そして 2010年もビッグバンド マエストロ、チューチョバルデスとの共演だったわけで(この時のバックはチューチョのバンド)、純粋なトリオとしてはけっこう久々。
ぼくが見る限りではちょうど7年前、 2009年4月のライブ以来である。
その時のベースは今は亡きチャールズフローレスだったわけで、楽しそうに演奏していた彼を思い出すと涙も出る。


2009年時にぼくは『こういう弾き方の人って、歳をとると衰えてしまうのが非常に心配だけど、いっぱい筋トレして維持してもらいたいものです』なんて書いているけれど、それから7年、今宵のカミロ先生も全く衰えなし。
相変わらず鋼鉄のような指先、超絶技巧で弾き倒す。4月4日に62歳になったとは全く思えない。
今回は彼のために特別にデカいスタインウェイのピアノが搬入されたそうだ。
こいつを、パーカッシヴに弾いちゃうもんだから、スタインウェイくんも裸足で逃げ出すほどだろう。しかし、あれだけ弾いてくれたら幸せに思っているにちがいない。


アンコールで聴かせてくれた「On Fire」は、これまでの「On Fire」史上でも一、二を争う凄絶さ。
それはもう、アンソニージャクソン〜オラシオ“エルネグロ”ヘルナンデスのトリオのそれがNo.1であるが、それに勝るとも劣らない出来。
かなりの超絶技巧を駆使しても、そこまで汗水垂らさないカミロ先生が、「弾きながら汗を撒き散らす」という現象を初めて見た。
そこまで大熱演してくれると客も大満足である。


4/8のセカンドショーはラテン映画カジェ54でもアンソニー〜オラシオと披露していた「From Within」に始まり、「Mano a Mano」などお馴染みの曲を緩急織り交ぜて披露。
「Caribe」や「Why Not」、「Suntan」などの定番曲はやらなかったけれど、どうやら他の日は「Tombo In 7/4」やリーモーガンの「The Sidewinder」、デイブブルーベックの「Take Five」なんかも演奏しているみたいで、恐らくどのステージもその場でカミロが決めて演奏しているように思う。
(これだけカミロのライブを見ていてもまだ「Tombo In 7/4」を聴けていないのは悔しい限り。一度聴いてみたい。)


さて、そんなカミロに涼しい顔をして付いていくリンカーンゴーインズとクリフアーモンドのご両人。
リンカーンゴーインズはパッと見だけでは凄さがわからないだろうけれど、これだけカミロとクリフが縦横無尽に動き倒すからこそ、彼のベースの支えがかなり重要。演奏している人からすればやはり「居てもらわなければ困る」。
そういう意味ではクリフは、まったく音楽が分からない人が見ても、見た目だけで凄いと思えるドラミング。
相変わらずの表現の幅、黒人やラテン系のドラマーとはまた違うアプローチで曲に装飾を加えていく。
一時、左足のクラーベを練習していたクリフだが、今宵は無し。
あくまでシングルペダルでの表現にこだわっていた。


今宵のクリフのセット。ヤマハのドラムにエバンスヘッド、ジルジャンのシンバル。
スプラッシュはなく、クラッシュも大きめ。トラッシーな重ねシンバルもハイハット左に。
あとはカウベルやウッドブロックといったパーカッションも備え付け。
クリフセット


カミロのスタインウェイの鳴りもあって、およそ3人でやっているとは思えない音圧。
金曜夜とあって、超満員の観衆も壮絶な音の洪水にノックアウトされるライブでありました。
その日に日本で行われるライブの中でも、楽器の演奏技量においては最高峰に位置するものがブルーノート東京では毎日のように行われているけれど、今宵のライブも間違いなくその一つ。
あらゆる国のオーディエンスを沸かせてきたアツいライブが展開されました。世界は広い。


カミロのライブ盤ならやはりこれ。オラシオ・ヘルナンデスのドラムが強烈。今はなきカミロの相棒の一人チャールズ・フローレスのベースも聴ける。

Live at the Blue Note


スタンダードも多く入っている名盤。今回のドラマーであるクリフも参加。

スルー・マイ・アイズ

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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