幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]
2012年1月28日。
An Evening with PAT METHENY with LARRY GRENADIER Live at BlueNote Tokyo 2012
Pat Metheny(g)
パット・メセニー(ギター)
Larry Grenadier(b)
ラリー・グレナディア(ベース)
<セットリスト>
1. Sound Of Water
2. Unrequited
3. Say The Brother’s Name
4. I Hear A Rhapsody
5. Change Of Heart
6. Question And Answer
7. The Bat
8. New Song
9. Improvise w/Orchestrion
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(encore) Medley : Phase Dance〜Minuano〜September 15th〜This is not America
メセニーのライヴは素晴らしい。
外れがない。
毎回何かが新しい。
期待値が相当高いのに、毎度それを上回ってくれる。
今回もやはりそうだった。
ソロアルバム「What’s It All about」を引っ提げて、ベースのラリーグレナディアとのデュオライヴ。
不肖わたくし、体調絶不調の最中、なぜかこのライヴの日だけは体調が良かった。
マイフェイバリットミュージシャンのライヴに対する思い入れと期待値は、病気をも凌駕するのか。。。
ライヴは相変わらずメセニー師匠手抜きなし。
弾きまくり。
驚くべきことに1日2ステージ×8日間、全ステージ違うメニューだったようだ。
Bright Size LifeやJamesといった初期の曲から、
So it may sincerely beginといった中期メセニーグループの曲、
Antoniaといったシークレットストーリーからの曲、
Autumn LeavesのようなJazzスタンダードから
The Castle In The Sky(天空の城ラピュタ)のような曲まで色とりどりである。
インプロも合わせてその場の思いつきで曲を決めている節もある。
さすがに最近は学生時代ほど「前で観る」ことにこだわらず、寧ろ音響重視だったりするのだが、
さすがにメセニー師匠を観るとあっては、
そして後述するミニオーケストリオンを目の前で見られるとあっては、
気合いを入れて朝から並ぶしかあるまい。
僕の前に並んでいた人は始発で来たそう。
ところが僕の数分後には何人か並んだので、こういう順番のちょっとしたズレに席が左右されるのは「ブルーノート並び」の怖いところである。
さて今までもメセニー師匠を目の前で何度か観てきたが、必ずドラマーがいたので、あれほどまでに“呼吸”を大事にして弾くということを初めて知った。
とにかくベースのラリーとの息の合わせ方が尋常ではない。
ワンフレーズを弾ききるまで本当の意味で“呼吸をしない”。
だからステージ前に陣取るとメセニーの鼻息がすっごいよく聞こえるのである。
鼻がつまってたら弾けないんじゃないか。。。
まぁとにかくそれほどにパルスを大事にするメセニー師匠であり、流れるようなあのフレーズは“息”に秘密があったのだ。
ただ単にあらゆるギターを駆使したソロ~ベースとのデュオだけでも素晴らしいのに、
このライヴにはさらなるサプライズが用意されていた。
2010年のオーケストリオンライヴで観衆を驚愕させたオーケストリオンのセットを舞台の後方に黒幕で隠しておきライヴ後半に登場させたのである。
(実際にはティンパニーとかヴィブラフォンとか大物楽器がないのでミニオーケストリオンである)
黒幕が引き剥がされ、オーケストリオンが登場した時の「どや顔」といったらありゃしない。
メセニー本人もだが、楽器たちも「どや顔」をしているかのように登場する。
そしてメセニーはこれを駆使して毎ステージ、インプロヴィゼーションの嵐を披露するのだ。
オーケストリオンライヴの時、このライヴはこれ1度きり。これだけのセットでこれほどのライヴをするのは二度と不可能なのではないかと思ったが、2年前のそんな僕の思いすらメセニーは越えていく。
あの時のすみだトリフォニーホールより遥かに遥かに小さいブルーノート東京で、小さいセットながらもオーケストリオンの世界を再現させてしまったのだ。
まさに“一人パットメセニーグループ”なのであるが、これを見てなんだかまだまだオーケストリオンの世界は広がるんではないかということを感じた。
メセニー師匠のことである、これだけのセットと技術をこのまま野放しにしないだろう。
何か企んでいる筈である。(まずは今年、オーケストリオンのライブDVDが出るようだ)
メセニーの歩み、とめどもつきぬ開拓スピリットは止まらない。
現在メセニーは、サックスに新進気鋭のクリスポッターを加えた“ユニティバンド”ですでにアルバムを発表し、ワールドツアー中。
恐らく年末か来年には日本にも来てくれるだろう(ことを望む)。
アルバムの出来も素晴らしいだけに(オーケストリオンの楽曲もちゃっかり入っている)、これまた期待大だ。
最後に。ベースのラリーグレナディア。
しっかりと音楽の屋台骨を支え、素晴らしかったことを付記しておきたい。
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