Live鑑賞 〜 Pat Metheny Ochestrion Live at すみだトリフォニーホール 2010

2010年6月12日。

パットメセニー オーケストリオン Live at すみだトリフォニーホール

さまざま好きなアーティストのいる中で、
フェイバリットアーティストであり、敬愛するアーティスト、
パットメセニー。

昨年の年末年始、ブルーノート東京でのカウントダウン公演以来のライブ。

今回は噂の“オーケストリオン”を引っさげて、1人の来日だ。

本当に様々なアーティストを見るが、
この人こそ、ライブを見ていて
「同時代にライブを見ていられて幸せだ」と思える人である。

もちろんそれは、単純に「この人の音楽が好きだ」ということもあるのだが、
全く別の理由がある。

すんごく簡単に言うと、
それは「他の人がカバー、コピーできない」ということである。

そりゃあ、他のジャズ系のアーティストだろうが、
キリンジだろうが、aikoだろうが、坂本龍一教授だろうが、マイケルジャクソンだろうが、替わりはいない。

でも、その人たちの曲とかをなんとか「それに近い形」で演奏したり、
自由にカバーしたり出来る。

ところが、残念ながらパットメセニーという人が創作する音楽は、
この人しか再現できない。

で、それでもパットメセニーグループの音楽ならば、
まだ再現も可能の域(かなり厳しいが)であるのだが……



・’90年代後半のシークレットストーリーライブは、
日本公演が実現しなかったものの、
「あのアルバムをよくぞライブで再現出来るものだ!」と度肝を抜かれた。

・そして2005年の「The Way up」ライブでは、
「あの70分に及ぶ超大曲を演奏するか!?」と、
そして演奏しきったグループに舌を巻き、感動した。



しか~~し!
それらのライブ以上に、
今回のオーケストリオンのライブは、もう絶対、二度と
再現不可能なのではないかと思う。

オーケストリオンとは、簡単に言うと「全自動楽器演奏装置」である。

バーなんかに行くとたまに、自動演奏ピアノが置いてあるでしょ。
アレの進化系。

ピアノは勿論のこと、
ドラムの一つ一つのパーツ、
ヴィブラフォン、
ギター、
コンガ、
あらゆるパーカッション、
果ては、水を入れた瓶に至るまで。。。

すべて、メセニーが自分で前もって演奏し、
録音したものに、自分でその場で演奏を重ね、ソロを取る。

それはそれはもう、とんでもないシロモノなのである。

ステージ上はこんな感じだ。

これらの楽器すべてが自動で演奏され、
真ん中にメセニーが立って、制御しながら演奏する。

わざわざそんなことしなくても…
と思うのだが、これはさんざん色々なアーティストと丁々発止のライブを展開してきたメセニーだからこそ行き着いた一つの形なのだと思う。

そして、驚くべきことに、
この演奏装置は「前もって録音」したものだけを演奏するものだけではなかった。

言葉では非常に説明しにくいのだが、

ライブ終盤、ギターをつまびいたパットは、
それにどんどん自分で音を重ねていき、
ギターが全ての楽器と連動していて、
その場で全ての楽器を重ねて鳴らしきった上に、
(要するにその場でオーケストラ用の曲を一曲作ったようなものだ)
自分でソロを取るという離れ技を演じた。

もうここまで来ると、口ポカ~~ンである。
超絶なインプロビゼーションの世界。
こんな芸当はパット以外にできない。
先日のマイクスターンバンドのリチャードボナのパフォーマンスにもびっくりなのだが、それ以上の事をメセニーはやってくれた感じである。

その場で、あらゆる楽器を、
自分の思い通りに演奏して重ねていけるという意味では、
バンド形式とはまた違うインプロの創作世界が広がるわけで、
その意味でオーケストリオンほど便利な装置はないわけである。

休憩も入れずに3時間、途轍もない音楽を聴かせてくれたメセニー。
一体この人はどこまで行くのか。
そろそろメセニーグループの新作を聴きたいものだが…

パットメセニー、オーケストリオン
こんな感じ。
しかし、生で見る迫力はもっと凄いっす。
もはや「巨大なチンドン屋」




オーケストリオン・プロジェクト


オーケストリオンのブルーレイ

オーケストリオン・プロジェクト [Blu-ray]

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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