Live鑑賞 〜 Kip Hanrahan “BEAUTIFUL SCARS” Live at BlueNote Tokyo 2011

2011年12月9日。

NARUYOSHI KIKUCHI presents

“SYNDICATE NKKH -DCPRG & AMERICAN CLAVE-”

KIP HANRAHAN “BEAUTIFUL SCARS”
with special guest NARUYOSHI KIKUCHI
& MAÏA BAROUH Live at BlueNote Tokyo

菊地成孔 presents
“SYNDICATE NKKH -DCPRG & AMERICAN CLAVE-”
キップ・ハンラハン “ビューティフル・スカーズ”
with special guest 菊地成孔
&マイア・バルー

Kip Hanrahan(musical director)
キップ・ハンラハン(ミュージカル・ディレクター)
Horacio “El Negro” Hernandez(trap drums)
オラシオ“エル・ネグロ”エルナンデス(トラップ・ドラムス)
Robby Ameen(trap drums)
ロビー・アミーン(トラップ・ドラムス)
Yunior Terry(b)
ユニオール・テリー(ベース)
Fernando Saunders(electric b,voice)
フェルナンド・ソーンダース(エレクトリック・ベース、ヴォイス)
Brandon Ross(g,voice)
ブランドン・ロス(ギター、ヴォイス)
Richie Flores(conga)
リッチ―・フローレス(コンガ)
John Beasley(p)
ジョン・ビーズリー(ピアノ)
Yosvany Terry(sax)
ヨスヴァニー・テリー(サックス)
Alfredo Trif(vln)
アルフレード・トリフ(ヴァイオリン)
Luisito Quintero(per)
ルイシート・キンテーロ(パーカッション)
Naruyoshi Kikuchi(sax,voice)
菊地成孔(サックス、ヴォイス)
Maïa Barouh(vo,fl)
マイア・バルー(ヴォーカル、フルート)

 

今年の締めのブルーノート。
この秋もいっぱいいっぱい行きたいライブはあったが、
ロイヘインズ師匠もミシェルカミロ師匠もジャコパスビッグバンドも行けず、大変残念。

 

で、なにゆえキップハンラハン???

 

もちろん、第一には大好きなオラシオヘルナンデスがドラムだから、
というのはある。

 

しかし、このキップハンラハンのプロジェクトには、
何やら怪し気な雰囲気。
怪し気な空気感。
怪し気な気分が存在し、
「音楽が目の前で創られ、強烈なミュージシャン達によって弄ばれる」様を見られる気がしたからだ。

 

ある程度、期待値とか予想が出来る音楽ではない、
予測不能な事態が起こりうるライブであると。

 

実は僕は2003年8月に同じブルーノートで、
キップの”CONJURE”プロジェクトを見ている。

 

この時も、ダークで、不思議で、
その場で音楽が作られて行く様が見られ、
変な余韻が残った。

 

Jazzという枠では全然なくて、いわゆるWorld Musicであり、
ニューヨークのアンダーグラウンド系音楽ということなのだが、
キップの音楽には、今のJazz界になくなった熱気みたいなものがある。
それは、’60年代のようなJazzの熱気ではなくて、
あくまでも現代風というか、
ストーブじゃなくてコタツとかセラミックヒーターみたいなジワジワくる熱気なのだ。

 

果たしてライブは、やはりその通りの熱気となった。

 

ドラム2台に、パーカッション、コンガ、ベースも2人で、
グイグイと音楽を引っ張るから、それだけでもう打楽器好きにはたまらない。

 

日本人にはキープするのが大変な超高速ラテンリズムを、
涼しい顔して演奏するリズム隊。

 

その上に乗っかる、バイオリン、ギター、サックス、
そしてボーカル(ボイス)。

 

そして、キップハンラハン本人は、
(毎度のことなのだが)
何もしない

 

恐らく、初めて見た人は、
「こいつ誰??」という感じであろう。
ステージの真ん中に小太りのオッサンが瓶ビール片手に現れて、
顎に手をあてつつ、立ったりしゃがんだり。。。
楽器は一切演奏しない。
たまにビール飲みながら、あれこれ指示を出すのだが、
それをメンバーが聞いているわけでもない。

 

このオッサンこそがキップ本人である。
全ての作曲をしているのであろうし、
目の前で繰り広げられている音楽はキップの頭の中の音楽が具現化されたものなんだろうけれど、
普通の人が見てたら「必要か?このオッサン」という感じである。

 

でも、不思議とこのオッサンの存在感がないと、
音楽が引き締まってこない気がする。
指揮をするわけでもなく、演奏もしないにも関わらず、
なんなんだろうか、この空気感。統制感。

 

 

言い過ぎかもしれないが、
要するにマイルスとか、ザヴィヌルとかミルトンナシメントに匹敵する存在感である。
(しかし、彼らはまだしも演奏するのだが、キップはしない)

 

そして、ハッキリ言って、こんなバンドは
絶対に日本では成立しない!

 

リーダーが、真ん中で立ったりしゃがんだりして、
たまにビール飲んで、演奏もしないなんて、
日本でやったら「ふざけるな!」と言われるだろう。
こういう所が、なんと申しましょうか、
外国ならではの自由な音楽の雰囲気やなぁ~と思ってしまう。

 

途中MCを挟むこともなく、
13人のメンバーが入れ替わり立ち替わりで
ずーっと演奏しまくって、終了。
終わってみれば2時間以上。
最前列で見たので、音響はよくないし、首も痛かったが、
不思議とあんまり疲れなかった。

 

どこからウワサを聞きつけたのか、
或いは個々のミュージシャンのファンなのか、
客はファーストもセカンドも超満員。

 

個々のミュージシャンとしては、
久々にオラシオ&ロビーのツインドラムが気持ちよかったし、
何と言っても世界最高峰、最速のコンガ奏者リッチーフローレス先生。
この人のコンガを見るだけでも金払う価値あり、である。
超高速で叩きながら、楽しそうに演奏するから、こっちもハッピーになる。

 

Youtubeで見つけたリッチー先生のコンガソロ。
ポコロポコロ!ってメッチャ速い。
速過ぎて手が見えん。

 

とにもかくにも、やはり8年前と同じく、
今後何年か余韻の残りそうな、他のブルーノートライブでは味わえない、
キップの音楽世界でありました。



ビューティフル・スカーズ

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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