Live鑑賞 〜 John Scofield “COMBO 66” Live at BlueNote Tokyo 2019

2019年5月29日。2nd Show。

John Scofield “COMBO 66” Live at BlueNote Tokyo 2019


John Scofield “COMBO 66” Live at BlueNote Tokyo 2019

ジョン・スコフィールド “コンボ 66”


John Scofield(g)
ジョン・スコフィールド(ギター)
Gerald Clayton(p,org)
ジェラルド・クレイトン(ピアノ、オルガン)
Vicente Archer(b)
ヴィセンテ・アーチャー(ベース)
Bill Stewart(ds)
ビル・スチュワート(ドラムス)


ジョンスコを見るのは4年ぶり(もうそんなに経つのか)。
当ブログでのジョンスコは以下の2ライブのみだが、その昔は1996年8月のLive by the lake 河口湖でのハービーハンコック率いるニュースタンダードバンドでのライブなど、ちょくちょくお目に掛かってはいる。
Live鑑賞 〜 John Scofield “Uberjam” Live at BlueNote Tokyo 2015
Live鑑賞 〜 John Scofield Trio featuring Steve Swallow & Bill Stewart Live at BlueNote Tokyo 2012


ここ数年、目立った活躍を見せてくれず、はっきり言って精彩を欠いていると言っていいパット・メセニーに対し、ジョンスコのこの数年はおもしろい。
というか、来るバンド来るバンドでどんな音を出してくるんだろう、というワクワク感がある。
それくらい、上記したUberjamバンドも、スティーブ・スワロウとビル・スチュワートとのトリオも、印象に残るライブとなっている。
また、日本での公演は実現していないがメデスキ、マーティン&ウッドとのバンドや、ジャックディジョネットとのHUDSON、カート・ローゼンウィンケルとの双頭コンボ、往年のデニスチェンバースやゲイリーグレンジャーらとのStill Warmバンドなど、どれが来ても期待感とワクワクがある。


で、そのワクワクの原動力はドラマーにある。
もともとはデニス・チェンバースを世に送り出したジョンスコ(最初はジョージ・クリントンバンドがデニスのデビューなのだが、世に広めたという意味では確実にジョンスコである)。ビルスチュワートも若手の頃からの器用だし、最近だとルイス・ケイトーもそうだが、ドラマーの発掘が上手い上に自分の音との合わせ方も上手。
(ディジョネットとは旧知であって言わずもがな)


で、予想通りというか、このCombo66も長年コンビを組んでいるジョンスコとビルスチュががっぷり四つに組んでバンドの骨組みを作り、ベースがそれを支え、ピアノがその上を浮遊するというようなライブバンドだった。
うーん、バンドのつくりは上に書いた感じで間違いないのだが、実際には骨組みであるジョンスコとビルスチュの2人が破壊者でもあって、演奏をかき回す。


ビルスチュワートのセット。
今回はカノウプスを使用していたように思う。シンバルはKジルジャン



ジョンスコは相変わらず、ギター初心者が見たらあかん人である。マル禁。
筆者自身はギターが弾けないので技術的なことは四の五の言えないのだが、それでも数多くのギタリストを見てきてジョンスコほど独特なギターを弾く人はいない。
フレーズはアウトしまくるし、物凄い早弾きとかでもないし、叙情的なメロディを弾く訳でもなく、ぱっと見でどこが上手いのか、さっぱり分からないのである。
でも、いっぺんその不思議な魔力にかかったら虜である。
(虜にされた人たちでブルーノートは超満員)
そして、叙情的ではないと書いたが、ブルージーなジョンスコ独特のカッコいいメロディやフレーズは存在する。

とにかくジョンスコのギターは全ての音が「ジョンスコの心の叫び」ということにしておくと分かりやすい。
で、毎度書いているがそれが顔に出てきてしまっているから、ジョンスコは「顔でギターを弾く」人である。


さぁそんなジョンスコと目下のところ相性抜群で、煽りまくるのがビルスチュワートだ。
プレイを見るだけでお金を払う価値があるドラマーの一人。
むちゃくちゃタイトなんだけど、むちゃくちゃ崩しまくる。
あくまで白人のリズム感なのだが(黒人的粗さがない)、その中でリズムを崩しまくるのである。
ダイナミクスは凄まじいし、ハイハットを含めたシンバルの鳴らし方が緻密。
シンバルは基本的に大口径のKジルジャンシンバルを置いているが、ものによってフエルトワッシャーをつけておらず、倍音を鳴らしきる置き方をしてあったり、あとはハイハットに関しては相当のこだわりを持っているように思う。
ハイハットの練習をどのくらいやったんだ?というほどに、多種多様な鳴らし方をさせる。
ジャズドラマーなのに、左手はずっとマッチドグリップで、絶対にレギュラーグリップにしない。
こういった独特な叩きっぷりを見ていると、なかなか日本からはこういうドラマーは出てこないよなぁと考える次第。
前回ビルスチュを見たのはラリーゴールディングスとピーターバーンスタインとのトリオだったが、その時よりもはるかにこのバンドでは暴れまくっていた。
Live鑑賞 〜 Larry Goldings, Peter Bernstein & Bill Stewart Live at Cotton Club


本編最後には「Straight no chaser」やアンコールでは「But beautiful」なんかも演奏するようにJazzコンボなのであるが、既存のギタートリオとかに当てはまらない、どこまでいってもジョンスコ流のJazzを貫いていた。
(「But beautiful」なんか、曲紹介しなかったら「But beautiful」と分からない)
70歳手前にしてますます意気軒昂なジョンスコ。
さまざまなフォーマットのバンドを率いて毎年のように登場して欲しいところだ。
個人的にはStill WarmバンドとHUDSONバンドを見てみたい。


ちなみに、以下にアルバムを付記しておくが、ジョンスコの場合は「ライブを見てナンボ」のアーティストである。
アルバムだけではなかなか良さが分からない。ライブを見てアルバム、くらいが正解か。

このバンド名義のアルバム

COMBO 66 [CD]


なんちゅうジャケットやねん!のUberJamバンド

Uberjam


今は亡きジョージ・アダムス、ドン・プーレンとの双頭コンボにジョンスコが割り込んだアツいアルバム。これは買い。

ライブ・アット・モンマルトル


メデスキ、マーティン&ウッドとの快作。個人的にはHOTTENTOTがヘビロテ

A Go Go

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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