Live鑑賞 〜 Chick Corea TRILOGY featuring Christian McBride and Brian Blade Live at BlueNote Tokyo 2019

2019年4月5日。2nd Show。

Chick Corea TRILOGY featuring Christian McBride and Brian Blade Live at BlueNote Tokyo 2019


Chick Corea TRILOGY featuring Christian McBride and Brian Blade Live at BlueNote Tokyo 2019

チック・コリア・トリロジー
featuring クリスチャン・マクブライド and ブライアン・ブレイド


Chick Corea(p)
チック・コリア(ピアノ)
Christian McBride(b)
クリスチャン・マクブライド(ベース)
Brian Blade(ds)
ブライアン・ブレイド(ドラムス)


チックを見るのは2017年8月のコリア・ガッドバンド以来。
ただ、トリオのフォーマットで見るのは実に2007年9月のチック〜ジョン・パティトゥッチ〜アントニオ・サンチェスのトリオ以来12年ぶりとなる。

また、2009年(もう10年も経つの?)のジョン・マクラフリンとの一国一城の主バンドの時からベースとドラムを抜き出してトリオにしたのが今回のライブ編成だが、同じ人間でもあのファイブピースバンドとはまーーったく音色が違うのも愉快なところ。
あの時はマクラフリンがいることでエレクトリック、今回は完全なるアコースティック。

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恐らく見に来ていた超満員のオーディエンスのほとんどがそうだったのではないかと思うのだが、手練れのこの3人からどんな感じの音が紡がれるのか、なんとなくある程度予想が出来つつライブに臨んだ人が多いのではないか。
何が言いたいのかというと、この3人のパッケージを見た時にそういった「音のイメージ」を創造させてしまうほどのアーティストだと言うことだ。
後世に名を残すようなJazzアーティスト/ミュージシャンというのはそういった「音の期待感」のようなものを抱かせる何かがある。

そんな3人、このブルーノート東京ウィークはセットリスト無しで臨んでいるようだ。
見たショーは、ブルーノート東京ホームページ上の初日ライブリポートとも曲目が違ったし、明らかにその日、その場の空気感で曲を決めていたフシがある。

1曲目の「La Fiesta」を聴けただけでもう充分に来た価値あり。
さらにそこからの流れでそのまま「Alice in wonderland」と来られたからたまらない。
さらに3人とも譜面を見ながらプレイするほど出来立てほやほやであろうチックの新曲や、ケニー・ドーハムの名曲「Lotus Blossom」、アンコールでは「Blue Monk」や「Matrix」なども含めたメドレーで締めてくれた。

もはやハービー・ハンコックやキース・ジャレットと比べるのも野暮というものだが、ハービーの場合はほぼ自作曲中心だし、エレクトリックでポップ寄りだし、トリオの演奏はしない(ただし、旧ブルーノート時代はトリオで毎年のように壮絶な演奏を披露してくれていた)。
キースは今やスタンダーズすら活動をしていないけれど、やはりどちらかと言えばスタンダード寄りであり、自作にしてもとにかく即興演奏重視、そして何より固い。見ているこっちも真剣モードで見る必要があるアーティスト。

そこへもってくると、チック・コリアというアーティストは、アコースティックからエレクトリックまで(時にクラシックまで)自由に渡り歩けるし、スタンダードも自作も(その自作曲が「スペイン」筆頭に、今回の「La Fiesta」のようにスタンダード化してしまうほど名曲が多いのだが)自由自在だし、昔の自作も新作も構わずに演奏しちゃうし、前に演ったフォーマットを復活させたり、かと思えば新しい企画もどんどんやっちゃうし、自分のやりたいことを貫きつつ、オーディエンスの要望や満足感もちゃんと分かっているという、なかなか他にいそうで居ない存在なのだ。
で、何より本人がそれを愉しんでやっている。

それって悪く言えば「移り気」なのかもしれないけれど、ぼくはそういう音楽の自由さ加減がチック・コリアという人のJazzなんじゃないかと思う。
それで、世界中のオーディエンスを喜ばせ、何よりあらゆるアーティストが彼のもとに集まってきたり、昔一緒に演奏したミュージシャンも戻って来れるっていう人間力というか営業力まで兼ね備えてるのだから、やっぱり稀有なアーティストである。

77歳、今年78歳になるわけだが、まぁ出てくる音の瑞々しいこと。
そして、旋律を奏でれば1発で彼と分かる音も健在である。

クリスチャン・マクブライドやブライアン・ブレイドも相変わらず絶好調だったのだが、ブレイドについて。
今回目の前1m以内でプレイを見ることが出来た。
この人の凄さは、ある程度修練して、いっぱいコンテンポラリー系ドラマーを見てきた人でないと分からないのではないか。
パッと見は、むちゃくちゃ手数が多いわけでもないし、音がデカいとかでもないし、体幹だってズレまくり、おおよそどこぞのミュージックスクールで教えられていたら「姿勢を正しく!」なんて注意されそうな叩き方である。

テクニックだけの上手さや手数だけでいったら、それこそミュージックスクールの生徒の方が上手いかもしれない。
でも。この人のドラミングは絶対真似できない。マネできそうに見える、が出来ないと言った方が正しいか。
とにかく唯一無二である。

体幹がズレて、ノリノリで叩いているのも、この人がこの人だけのパルスで叩いているからである。
だからコピーしようにもグルーヴ込みで個性をコピーできない。
タム1個、フロア1台。シンバルは口径の大きなシンバル3枚のみ。
必要最小限のセットでよくぞここまで色彩豊かなドラミングが出来るものだと、目の前で感心して見ていた。
これだけのドラムセットでも、これだけの音が出せるんだよ!とメッセージされている様な気さえした。
色彩、ダイナミズム、グルーヴ、音の大小、、、ライブで観ないとこれは分からない。
このあたりの個性は、間もなくやってくるアリ・ホーニグやビル・スチュワートなどにも共通する事項だ。

日本製カノウプスのドラムがいい鳴りだ。スネアは刃シリーズ。
シンバルはKコンスタンチノープルのようである。

その気になれば、もっと大音量で、大爆発のジャズも出来る3人だが、このトリオでは敢えてミニマムに抑制させた音で、あくまでも「表現力トリオ」を目指した音作りをしていたように思う。
で、そういう演奏が出来るのは百戦錬磨の猛者3人だからだし、ともするとライブは熱狂、爆発力!を求めがちなところを、あえてそれで良いとオーディエンスを納得させてしまう説得力を持つ3人の究極型とも言えるライブであった。

で、チック本人の意図は分からないが、老いていく年齢を考えるとこのくらいの抑制させた音楽を奏でていくことが、80代に入っても90代に入っても弾き続けていける道なのではないかと考える。
そんな事を言いつつ、80になってもエレクトリックバンドやアコースティックバンド、他の手練たちと丁々発止のやりとりをするチックを見たい欲望もあると、勝手なオーディエンスの気持ちを述べておく。


トリロジー


トリロジー2

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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