Live鑑賞 〜 上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ Live at BlueNote Tokyo 2017

2017年12月1日。2nd Show。

上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ Live at BlueNote Tokyo 2017


HIROMI × EDMAR CASTANEDA
LIVE IN JAPAN TOUR 2017

上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ


Hiromi Uehara(p)
上原ひろみ(ピアノ)
Edmar Castaneda(Harp)
エドマール・カスタネーダ(ハープ)


上原さんを見るのはけっこう久しぶりで2012年7月以来となる。
Live鑑賞 〜 Hiromi The Trio Project Live at BlueNote Tokyo 2012
Live鑑賞 〜 上原ひろみ ソロ Live at Cotton Club 2011


今年はあまりライブに行けなかったし、行くなら厳選して行こうと決めていた中で、このライブは見つけた時に何か得体の知れぬワクワク感があって「見に行っておかねば」と思わせるものがあった。
このライブ、ブルーノートにしては異例(?)の、完全インターネット抽選予約制、そして前払いシステムである。
それほどまでに今の上原ひろみはチケットが取りにくいアーティストの一人ということだ。


で、ダメもとでチケットにトライしてみたわけであるが、スポンと取れた(しかもかなり予約順も早め)。
というわけで、勇んでブルーノートへ。


まずはハープのエドマールから書こう。
ハープに関しての知識はぼくには無い。
しっかりとハープだけを見るのも人生でほぼ初めてだろう。
オーケストラでちょこっとポロロンと鳴る程度のもの、という認識である。
が、エドマール・カスタネーダ。もう名前からしていい名前じゃないか。
勝手に言わせてもらえばいかにも超絶技巧そうな名前である。
普通の眠たくなるようなハープを弾きそうではない。


で、本当にその通りであった。
ハープという楽器の概念やイメージを完全に覆す男である。
一人で5人分くらい演奏する。
それはギター、ベース、琴、場合によってはパーカッションのようで、一人でメロディ/ベースライン/テンションコードをエフェクターに繋いで同時に演奏する。
繊細な音からどう弾いているか分からない(実際様々な弾き方をしていた)豪快な音まで華麗に紡ぐ。


と、ここまで書いて、仮に興味を持ち、今の時代だから動画はやはりすぐに見れるのだけれど、動画では彼の凄さは伝わらない。
やはり「生で観て」ナンボである。
音源もあるけれど、弾きっぷりと躍動感はライブでないと絶対に味わえないと断言できる。


ジャズハープを大成させた人はここまでの歴史上いないだけに、彼が第一人者となっていくだろう。
コロンビア人(奇しくも本日、来年のワールドカップの日本初戦がコロンビアになったのも何かの縁か)、やはり中南米にかけての楽器奏者は一味も二味も違う。


ひろみさん。
今や他の日本人アーティストとは一線も二線も画していると言っていいだろう。
世界のHiromiである。
ある程度は一般の人にも認知はされているだろうが、これだけ世界中で喝采され、評価されているほどにはまだまだのように思う。


ぼくは約5年ぶりだったが、やはりこの5年間のトリオプロジェクトを経て、さらにさらに磨きがかかっているように感じた。
円熟味というのはまだ無いけれど、瑞々しさに味が出てきたというか、脂乗りまくりといったところ。
もうそれは冗談ではなくチック・コリアやミシェル・カミロらと肩を並べるほどまで来ていると感じた。
曲や演奏の独創性も含めてそこまで思える日本人は少ない。


二人とも超絶技巧なのであるが、だからと言って嫌味じゃないのだ。
これが大事なところで、表現力がそれを上回るから、感動するのである。
そしてやはりおもしろいのは、2人も若いので、ジャズにとどまらず、ありとあらゆる音楽が混ざりまくっているという点である。ロックもファンクもラテンもエスニックもクラシックも、すべてフュージョンしている。
当たり前だがリズム感がハンパない。
ピアノ、ハープのありとあらゆる箇所を使って演奏し倒すし、時にパーカッシブなので、2人ともドラム叩かせたら上手いだろうなぁと思ってしまった。


このデュオのためにひろみさんが書いたという「風/大地/水/炎」からなる組曲「ジ・エレメンツ」は、凄絶な上に目を閉じればそれぞれの情景が感じられる名曲。
が、これも「観てナンボ」と言っておこう。というか観た上で音源を聴いて初めて分かるもの、である。


このデュオ、もっと進化していく予感がする。
年の瀬も押し迫ったが、今年No.1ライブとなった。


エフェクターが繋ぎ倒してあるジャズハープ




ライヴ・イン・モントリオール(初回限定盤)(DVD付)

コメントを残す

Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

アーカイブ

Produced by Get a life