Live鑑賞 〜 Kamasi Washington Group Live at BlueNote Tokyo 2015

2015年10月30日。

Kamasi Washington Group Live at BlueNote Tokyo

カマシ看板

カマシワシントンステージ

Kamasi Washington Group
カマシ ワシントン グループ

Kamasi Washington(sax)
カマシ・ワシントン(サックス)
Patrice Quinn(vo)
パトリス・クイン(ヴォーカル)
Ryan Porter(tb)
ライアン・ポーター(トロンボーン)
Brandon Coleman(key)
ブランドン・コールマン(キーボード)
Miles Mosley(b)
マイルス・モズレー(ベース)
Tony Austin(ds)
トニー・オースティン(ドラムス)
Ronald Bruner Jr.(ds)
ロナルド・ブルーナーJr.(ドラムス)

<SET LIST>
1.ASKIM
2.THE NEXT STEP
3.ABRAHAM
4.RE RUN
EC.MALCOLM’S THEME


音楽は見るもの。
それもナマで。
これに尽きる。
エグいライブを見た。
またしてもとんでもないライブを見た。


各メディアでも、ブルーノートの宣伝でも、LAジャズの最重要人物などと謳われ、煽られていたカマシ・ワシントン。
CDやネットで視聴してみる。
確かにスピリチュアルだ。
悪くはない。でも今ひとつアルバムで超大作のスピリチュアルものを聴きたいとは思わなかった。


しかしyoutubeでフレディ・ハバードの「Hub-Tones」を演奏し、咆哮するテナーを聴いて、これはヤバいぞと思った。

先日のスタンリークラークの時のピアノ ベカ・ゴチュアシビリやドラムのマイケル・ミッチェルもブルーノート東京に流れるカマシのPVを見て「カマシだ!カマシは凄いよ」と言っていて、気になるところ。
お前らもスゴいぞ!と心の中でツッコミを入れつつ、そんなにカマシはすでに神格化されてるのか…とも。


だいたいその風貌がいい。
なんともフンイキがあるじゃないか。
そして、バンドの楽器編成。
カマシのテナーにドラムが2人、ベース、キーボード、ヴォーカル、トロンボーン。
どんな編成だ?
しかもドラムの1人は爆裂型ドラムの新鋭ロナルドブルーナーJr.だ。
いったいどんな音楽が創造されるのか、得体の知れぬままブルーノート東京へ。


さすが感度の高い東京というべきか、満席である。
今回は大阪も名古屋もライブはなく、東京のみという点も手伝っているかもしれない。


そしてオーディエンス全員が撃沈させられたワケである。
基本的にずっと底流にはスピリチュアルな空気が流れているのだが、そのまま終わらない。
各人のソロに入ってからのイキっぷりが凄まじい。


まずはカマシ。
もうとにかく風貌そのままの豪放なテナーを吹く。
ソロともなるや何度も何度もイク。
咆哮するテナー。
全盛期のジョージ・アダムスか、ブッカー・アーヴィンか、ジョニー・グリフィンか。
はたまたコルトレーンとも違うし、ファラオ・サンダースでもなく、やはりこれは現代音楽を吸収しきった上でのテナーだ。
咆哮はさせるのだが、そこまでの持っていき方は、どちらかと言えば「音を探しながら、踏みしめながら頂上を目指す」ソロ。
どれだけぶっ飛んだソロを取っていても冷静。的確にメンバーに指示を出すところは、やはりバンドリーダー。


基本的にカマシ以外のメンバーはソロは1回ずつだったのだが、もうそれで客は大満足するくらい、1回に与えられたソロの中での各人の爆発量がエゲつない。
キーボードのブランドン・コールマン。
ショルダーキーボードでソロを取ったのだが、今、ショルダーキーボードのソロを取らせたら世界でNo.1なんじゃないかと思うほど、グッチョグチョのソロを取ってくれた。
バッキングでも煽り倒す。
そして、何よりも音楽に入り込み、楽しそうに演奏する。


ベースのマイルス・モズレーもアコースティックベースにエフェクターを付けまくって、現代的なソロを展開する。
トロンボーンもヴォーカル(時にヴォイス)も、他に比べるとソロは少なかったが、カマシの音楽を昇華させるには必要なパート。


そしてそして、ツインドラムだ。
なぜツインドラムである必要があるのか。
いや、もっと言えば、どちらかと言えばロック向きのTAMAのドラムを2セットも並べる必要があるのか。
(恐らくブルーノート史上TAMA社のドラムが2つ並ぶのは初めてのはず)
ライブを見れば答えは出る。
ドラム1台ではカマシを始めとする他の楽器の音圧に負けてしまうのだ。
これはもう絶対2台必要。
トニー・オースティンが基本リズムをしっかりとキープし、ロナルド・ブルーナーJrがその上を大暴れしてカマシを始めとするソロを煽り倒すのである。
盛り上がった瞬間はもはやロックの世界だ。


ロナルド・ブルーナーJr。初見だったが、スタンリークラークバンドの前のドラマー。
とにかくパワフルで、力技で押し切っていく。
強烈なマシンガンのような音の出っぷり。


ロナルドのセット。
TAMAドラムスにジルジャンシンバル。大口径のシンバルが多く、ハイハット上空にチャイナ。
ロナルドブルーナーセット

ロナルドブルーナーセット正面


ツインドラムと言えば、キップ・ハンラハンのエルネグロ&ロビーが有名だが、あちらはどちらも技巧派で2台で繊細に音作りをしていく形。
こちらは、ともすると2人とも爆裂していく。
中盤に用意された2人のドラムソロは破壊力抜群。


Jazzと言えばそうかもしれないけれど、ジャンルに捉われないあらゆる音楽要素を取り込んだごった煮のようなサウンドで、聴衆をノックアウトしたカマシ。今後、どういう方向性にいくのかはわからないけれど、イキ倒すブロウだけはなくして欲しくはない。
要注意人物の一人である。
今宵はお父様のリッキー氏もソプラノサックスで飛び入り(カマシと違って痩せている)。


よほど日本がお気に入りのカマシ。
サインも日本語で書く。
ケニーギャレットも日本語で書いたりするけれど、なんだかな〜な感じもする。
ありがたいんですけどね。
カマシサイン

店頭の看板にも日本語「カマシは日本が大好きです」
カマシは日本が大好きです

恒例のオリジナルカクテルも「平和大使」
平和大使



壮大なカマシの2枚組アルバム

The Epic [帯解説 / 国内仕様輸入盤 / 3CD] (BRFD050)

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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