Live鑑賞 〜 MEHLIANA Live at BlueNote Tokyo 2015

2015年3月13日。

MEHLIANA Live at BlueNote Tokyo


MEHLIANA看板


MEHLIANA featuring Brad Mehldau & Mark Guiliana
メリアナ featuring ブラッド・メルドー&マーク・ジュリアナ


Brad Mehldau(key,p)
ブラッド・メルドー(キーボード、ピアノ)
Mark Guiliana(ds)
マーク・ジュリアナ(ドラムス)


キーボードとドラムス。
この2つの楽器だけで、ここまで不可思議な音楽世界が広げることができるか!というライブ。
しかも、あくまでバックビートはドラムンベース主体。
つまり奏でられる音楽はあくまで現代的。古くない。


2人について書く。


ブラッドメルドー。
この人を見るのは通算3回目。
前回は2007年9月のNHKホール メセニー&メルドーのライブ。
その前は、まだ学生時代に旧ブルーノートだったかで、ブラッドメルドートリオのライブを見た。


で、ハッキリ言うとやっと今の年齢になってブラッドメルドーの良さが分かってきた。
正直、2007年の段階でもメセニー見たさで見に行ったわけで、メルドーそのものの良さは分かっていなかった。
最近になってメセニー&メルドーのアルバムの中の数曲で、メセニーを向こうに回して丁々発止で弾きまくるメルドーをじっくり聴いて、そこいらの新人ピアニストとは違う凄みが分かってきたのである。
(中でもメセニーメルドー名義の「Ahmid-6」や「Annie’s Bittersweet Cake」などは何度聴いても美しい)


こんな怪しい音楽世界を20歳前後の若造に分かれと言っても難しい話で、道理で当時のブルーノート東京におけるブラッドメルドートリオは面白くなかったわけだ。
(一緒に行ったそこまで興味がない友人は寝ていた。。。)
ただ、一つ書いておく。
数多見て来たブルーノートにおけるライブの中で「おもしろくなかった」という感想であったとしても、印象に残っているのは間違いない。


ここが大事なところで、若い頃から彼にはそういう他の凡百のピアニストにはない怪しいオーラがあった。
客に媚びない。無愛想。


さて、今宵、45歳になったメルドーを久々に見た。
少し、客に対して愛想よくなっていた。
でも、MCらしいMCはなく、ひたすらその場で音楽を創っていた。
以前とは全く違う音楽。
同じ年齢のジャズピアニストたちとはやっぱり違う、天才肌のオーラ。


創る音楽も、今までより僕好み。
今まではアコースティックピアノ一本だったが、今宵はキーボード2台にフェンダーローズ、ピアノと合わせて4台を弾きまくる。
ジャンルで言えば、ジョジョメイヤー&ナーヴにも通じるような「エレクトロニカ」か。
しかし、そこらのクラブで鳴り響くエレクトロニカとかドラムンベースとは違う。
エレクトロニカなのに、メルドーから奏でられるメロディーは叙情的で切なく、哀しい。
だから、どこにもない音楽世界が創りあげられる。


1時間と少しというブルーノートにしては短めのライブだったが、う〜〜ん、聴き終わったあとにじわじわと余韻が残る、またしても心に爪痕を残された。
恐るべしブラッドメルドー。


ブラッドメルドーサイド


マークジュリアナ。
この1、2年で急に注目を浴びるようになった、現代コンテンポラリードラミングシーンにおいて最重要ドラマーの1人。
これは見ておかねばならない。


この20年間。
トップドラマーたちを目の前で見て来たが、進化したな〜と感慨すら抱かせる新世代の叩き方である。
ジョジョメイヤーを祖(?)とする、人力ドラムンベースとも言うべき叩き方なのだが、彼が叩くとさらにもっと知的で繊細な味付けがなされる。


しかも、である。
彼のセットにはタムがない。
スネアとおよそジャズではない大きめのバスドラと、フロアタム1つ。フロアの横にもう一つスネア。
右手に大きめのライドを含めたシンバル3つ。
そして、左手にはアクセントを醸し出すクラッシュ系シンバルを並べて、それだけで勝負する。
(太鼓はグレッチ。シンバルはセイビアン。ペダル等ハードはなぜかヤマハ)


マークジュリアナドラムセットうしろ


恐らく発売されているものではないであろう、バリバリに割れたスプラッシュシンバルをトラッシュ音を奏でるために2枚重ねで置いてある。
(暗くて分かりにくいが1番手前のシンバル)
マークジュリアナドラムセットシンバル


ちょっと今までのドラムセットとは違うアレンジだからこそなのかもしれないが、彼から湧き出るサウンドはアイデアに溢れ、唯一無二。
コンテンポラリードラミングはどんどん進化しているな、と感じさせてくれたし、繊細だけれど叩きまくってくれるので痛快である。
本当に気持ち良い。


この2人。
まだこのまま続けるのかどうかすら定かではないが、2人しかいないとは思えないほどの音楽表現の幅とダイナミクスがある。
まだまだ2人でやれそうなことは多い気もするし、これ、さらに人が加わったらどうなるのか想像もつかない。

これだけマニアックなライブでもあるのに、2日しかないこともあってか大盛況。
とくに金曜夜のセカンドショーは自由席も含めて全くチケットが手に入らないほど。
知っている人は知っているね。


まったく新しい音楽世界に触れた、そんな夜だった。


ブルーノートの周りもどんどん変わる。
年末にはなかった建物がブルーノートの前に。
ブルーノート正面



Mehliana: Taming the Dragon

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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