Live鑑賞 〜 Bobby McFerrin Live at BlueNote Tokyo

2015年3月20日 金曜。

Bobby McFerrin Live at BlueNote Tokyo


ボビーマクファーリン外


Bobby McFerrin
ボビー・マクファーリン


Bobby McFerrin(vo)
ボビー・マクファーリン(ヴォーカル)
Gil Goldstein(music director,arranger,p,ep,accor)
ギル・ゴールドスタイン(ミュージックディレクター、アレンジャー、ピアノ、エレクトリックピアノ、アコーディオン)
David Mansfield(vln,mandolin,national resonator g, lap steel)
デヴィッド・マンスフィールド(ヴァイオリン、マンドリン、ナショナルリゾネーターギター、ラップスティール)
Armand Hirsch(g)
アーマンド・ハーシュ(ギター)
Jeff Carney(b)
ジェフ・カーニィ(ベース)
Louis Cato(ds,g,vo)
ルイス・ケイトー(ドラムス、ギター、ヴォーカル)
Madison McFerrin(vo)
マディソン・マクファーリン(ヴォーカル)


<Set List>
1.CIRCLE SONGS
2.IN THE LIGHT
3.CAN’T FIND MY WAY HOME
4.JESUS MAKES IT GOOD
5.SWING LOW
6.JOSHUA
7.THRILL
8.WHOLE WORLD
9.BAND SOLOS
10.WISHFUL THINKING
EC.REST


前回ボビーを見たのは、2008年。
すみだトリフォニーホールでのライブ。
Live鑑賞 〜 Bobby McFerrin Live at すみだトリフォニーホール 2008
だから、6年半ぶりか。


ブルーノート東京のスタッフさんに「だれか見たい人いたりします?」なんて聞かれると、ぼくは様々なアーティストの名を出すのだが、筆頭格で上げていたのがボビーマクファーリン。
もちろん、ぼく1人の意見だけでライブが決定することなんてあり得ないが、今回のブルーノートライブが決定した時に、そのスタッフさんに「オーシャンさんがボビーマクファーリンって言ってらしたのを覚えてて、ミーティングの時に言っておいたんですよ!」と言われた。
そう、冗談ではなく今まで世界でYoutubeなどでの視聴者数も合わせたら何億人も驚嘆させてきた、あの圧巻のボイスパフォーマンスを目の前で見られる機会が遂に来たのである。


↓本当に、目の前のこの距離だ
ボビーマクファーリンイス


2年前の東京Jazzの時に来日が決定していたのに、病気とのことで来られなかったボビー。
大きな病気でなければ良いが。。。と心配していたけれど、無事に登場してくれた。
しかも、である。
前回は新日本フィルとの共演で、ヴォイスパフォーマンスこそ見せてくれたものの、バンド形式ではなかった。
ところが今回はバンドという形での来日。
そのメンバーも名うてのミュージシャンばかりだから、いったいどうなるのか、である。


ハッキリ言ってボビーは1人で2時間のライブをやれと言われたら、全然出来る人間である。
それくらい飽きさせない。
ファルセットから超低音まで「いったい何オクターヴ出せんねん!」とツッコミたくなる(しかもそれを超高速で行き来する)声。声量。
ヴォイスパーカッションなどという言葉では括れないほどの多彩な声質。
ときに観客も巻き込んで音楽を創り上げるのだが、ぼくが以前見た映像でびっくりしたのは、音痴の人にもあえて歌わせて、でもその音痴の歌声すらも見事に取り込んで音楽にしていったところ。
(このあたりは、彼は指揮者もやれるから、自分だけの技のみならず、総合的な音楽プロデュース力にも長けているということだろう)


その上で、この人の凄さは、そういった超絶技巧が前に出過ぎず、イロモノに終わらず、
だれが見聴きしても最終的には
「音楽って楽しいものなんだ!!」
という本質的な部分に持って行くところ。
これを感じさせてくれるアーティストってそんなにはいない。
(そのアーティストのファンでない人が見ても、という意味で)
グラミー賞10回というのは伊達ではない。


ぼくはボビーマクファーリンのアルバムで言えばチックコリア(P)とのデュオ「Play」が愛聴盤だが、映像を見るにしても、マイケルブレッカーのサックスと声で丁々発止の渡り合いを展開したり等、楽器とのデュオかあるいはヴォイスだけでのパフォーマンスを見るのがもっぱらで、自身のバンドサウンドというのは初めてと言っていいくらいである。
で、結論を言えば、
「ボビーってバンドとなるとこういう感じのことがやりたいんだ〜」という新鮮な驚きがあった。
どちらかというとカントリー色が強かったり、若干古めのポップスの曲が多い。
いや、もぅそれでも、結果的にはそういった曲のなかに超絶技巧を織り交ぜてくるから、結果的にはボビー色に染まっていくのだけれど。

個人的にはもっともっとヴォイスだけでのパフォーマンスや楽器とのバトルが見たかった気がする。
(贅沢だが)


今回彼を目の前で見て、感じた第一は。
この人、醸し出す空気感が常に「音楽」である。
というか、いつ、どの瞬間から音楽が始まるか分からない空気に満ち満ちている。
ちょっとした雑音とか、話し声とか、そういうものをすぐに音楽に変えてしまう空気感が常にある。
数々のアーティストをぼくも見てきたが、こんな空気感を持った人間は初めてだ。
フラ〜〜っと歩いてるんやけど、ちょっとした瞬間や会話にグルーヴがあるというかね。
不思議な人物だ。天才肌なんだろうなぁ。


ステージ上は、ピアノ/キーボード/ギター/ベース/ドラム/マンドリン/ペダルスティール/アコーディオン/ヴァイオリン etcetc
ありとあらゆる楽器が演奏され、基本的に各楽器奏者がいくつも演奏する。
どこを見ても飽きない。


ピアノ/キーボードのギルゴールドスタイン。
ぼくのフェイバリットアルバム、パットメセニーの「Secret Story」にも名を連ねる、この人だけでもお金が取れるアーティスト。
今宵も、ボビーとアイコンタクトを取りながら、ステージの音楽をコントロールしつつ、自身のソロも披露。


圧巻は、今回初めて見た、ドラムの新鋭 ルイスケイトーだ。
この人、引っ張りだこで、この半年の間に3回、ブルーノート東京に登場する。
前回はマーカスミラーのグループ、このあとはジョンスコフィールドのウーパージャムセッションだ。
これね、3種とも全然違う音楽ですよ。
いかに、ルイスが期待され、バーサタイルなドラマーか、である。


上手いのは当然で、ボビーの声ともやり合うし、タイトなんだけれども、それでも今回は叩きまくることはせずに、バッキングに徹している気がした。
だからウーパージャムは期待したい。
何がびっくりかって、ギターが上手い。コーラスも上手い。
さすがにぼくも初めて見たが、この人、ギター弾きながら歌って、右足はバスドラを踏み、左足にはパーカッションを付けて奏でていた。あんなのムリだ。
こういう人が出てくるから世界は広い。まだまだ底が知れない。
何と言っても表情がいいね。楽しそうに叩く。これ大事。


ルイスのセット。カノウプスのドラムにシンバルはジルジャン。
ルイスケイトードラムセット


最後に。
「音楽は観るもの」というのはぼくの持論の一つ。
ボビーマクファーリンと言えば、CMにも使われている「Don’t worry be happy」が先に出てしまい、アルバムもいいのだが、彼の音楽は“観るもの”である。
ボビーの音楽表現は「観て楽しむ音楽」の一つの最高のカタチである。

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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