Live鑑賞 〜 McCoy Tyner Trio Live at BlueNote Tokyo 2007

2007年2月11日。


ブルーノートにてマッコイタイナートリオライブ。


マッコイタイナーのピアノは好きだ。
流麗で舞う様に、そしてパワフルにピアノを弾く。
どこからどう聞いてもマッコイのピアノだ!っと一発で分かる。


東京に住んで13年、ほぼ毎年マッコイはブルーノートに来ていて、毎回見ている。
ある意味数ではどのアーティストよりも一番多くみているんじゃなかろうか。
持っているCDにはほとんどサインが入っている。


今日の感想を正直に言うと…
悔しかった、悲しかった
です。


ここ2回のライブのマッコイは明らかに「弾けなく」なってきている。
今日は4日公演の4日目のセカンドショー。
さすがに疲れているんだろうが、前はそんなことなかった。


演奏中何度も手をグーに握り、指を見つめ、痛そうな表情をする。
マッコイ独特の高音で「舞う」フレーズが弾きたくても弾けない。
指が動かないのだ。


例によって1m位の至近距離で見ていた僕は、それを凄く感じ取った。


バンドとしてのまとまりも全くなかった。
メンバー紹介もなく、曲が終わるや否やそのまま帰ってしまった。。。そしてアンコールもなし。


正味50分ほどでライブは終わり。
僕がブルーノートに来ている中でも最短と言っていいライブ時間であった。


前回のライブは、ベースがチャーネットモフェット、ドラムがジェフワッツで活きがよすぎたので、マッコイとの差がどうしても出てしまい、それによってバンドのコンビネーションが悪くなったのはしょうがないのかな~と思っていた。


今回はそれに比べれば、ベースもドラムも歳をとっているので前回よりはマシだったが、それにしても。。。


前までは1曲目が始まると「キタ~~~!」となって、極上のマッコイならではのJazzを浴びるという感じだったけれど、ここ2回はそれがなくなった。
指が鍵盤を舞えなくなってきたのだ。
確かにパワーはまだまだある。
鍵盤を豪快に叩く。
でも以前は叩くのもたまにしか出さなかったが、今日は指が動かないからごまかすためにパワーで鍵盤を叩いてカバーしているように見えた。


マッコイは御年68歳。
彼の様なプレイスタイルだと、歳をとるとどうしても厳しくなってくるのかなぁ。
ハンクジョーンズみたいに優しく優雅なピアノなら88歳になった今でも味が出るだろうが、50代の頃のちょうど油が乗り切っていい時期のマッコイを知っているだけに、ここ2~3年の衰えはちょっと…。


それが悔しくて悲しい。


あくまでもそれは僕がずっと見てきているだけであって、今日初めて見た人はそれでも「いい」と思える出来だったのかなぁと思う(メンバー紹介もアンコールもないのはびっくりするだろうが)。


僕とて、色々感じつつも目の前でJazzピアノの歴史に確実に名前が残り、数々の名盤を残してきたマッコイが弾いていることそれ自体がいいんである。
もう共演したコルトレーンもエルビンもジャッキーマクリーンも、マイケルブレッカーさえもこの世にいない。


共演してきたそういう数々のアーティストを背負って舞台に立っているだけでいいのだ。


次に来るのはいつになるか分からないが、元気のいい初日近辺で見た方がいいんだろうなぁ。
昔はブルーノートに初めて行く人はマッコイあたりから聞かせるのが分かりやすくて連れて行きやすかったが、今のレベルではちょっとそれもできなくなった。


写真はマッコイ公演の間だけのスペシャルカクテル「スーパーヘーゼル」

ウイスキー系の味らしい。ヘーゼルナッツが入っている。



拡大するとこんな感じ。上にチョコがのっている。



これは本日のフルーツインプロビゼーション。
イチゴベースでその他のフルーツとのノンアルコールカクテル。

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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