Live鑑賞 ~ CAMERON GRAVES Live at BlueNote Tokyo 2020

2020年2月16日。2nd Show。

Live鑑賞 ~ CAMERON GRAVES Live at BlueNote Tokyo 2020


CAMERON GRAVES Live at BlueNote Tokyo 2020

The EXP Series #35
キャメロン・グレイヴス


Cameron Graves(p,key)
キャメロン・グレイヴス
(ピアノ、キーボード)
Colin Cook(g)
コリン・クック(ギター)
Max Gerl(b)
マックス・ゲル(ベース)
Mike Mitchell(ds)
マイク・ミッチェル(ドラムス)


<Set List>
1.ETERNAL PARADISE
2.RED
3.SEVEN SUPER UNIVERSES
4.SATANIA OUR SOLAR SYSTEM
5.SEVEN MASTER SPIRITS
6.SEVEN SONS OF CREATION
7.LIFE CARRIERS
8.SEVEN MANSION WORLDS
9.SEVEN CELESTIAL ARTISANS
10.THE END OF CORPORATISM


リーダーであるキャメロンには悪いが、とにかくマイクミッチェルである。
この2人を見るのは4年4ヶ月ぶり。
前回は2人を世に出した人物の1人と言える、御大将スタンリークラークバンドで見たのだった。

Live鑑賞 〜 Stanley Clarke Band Live at BlueNote Tokyo

もちろんやっている音楽はキャメロングレイブスのものだし、ステージ上のイニシアチブも彼が執っている。
基本的なステージ構成は、キャメロンがピアノ導入&MC&ポエム、からの超激しい4人のセッション、また超静かになって環境音楽か!とツッコミの一つも入れたくなるくらいのキャメロンのピアノソロ&MC&ポエム・・・という感じで、インタールードとセッションが延々続く。

その4人の激しいセッションの肝は、マイクミッチェルが握っている。

ここからは申し訳ないが、マイク論を。

4年4ヶ月経ち、当たり前だが明らかにドラミングはパワーアップしていた。
身体も一回り大きくなったのではなかろうか。
外人さんにありがちな、肥ったという意味での大きくではなく、筋肉的にデカくなった気がする。

スタンリークラークの時とはやっている音楽が全然違うこともあろうが、それにしてもドラムセットも全く別物。
もはや今のブルーノート東京では珍しいわけでもないけれど、それでもツーバスのドラムセットはなかなかここでは見れない。
タムタムも大小4つ、フロアタムは右に2つ、スネア横に1つ。
当時はメイペックスのドラムセットにマイネルのシンバル、スティックはVATERだったが、全て変わっていて、ドラムセットはDW、シンバルはジルジャンがメインでイスタンブールと混合、スティックもVIC FIRTHであった。
シンバルもトラッシュサウンドがお好みらしく、パーカッシブな音をさせるために重ねてたり、変形したシンバルを用いている。
(あそこまで叩きまくると、自然にシンバルが曲がったんか??と思ってしまうけど)

このセッティングで、そらもう叩く叩く。叩きまくる。
音がデカい。とにかくデカい。が、うるさくない。
“Blaque Dynamite”の異名もあるけれど、まさに爆竹というかダイナマイトをドカンドカンバチバチバチバチ〜と破裂させるような音の洪水。
まだ25歳。もうデニチェンやウェックルやヴィニーや、、を全て消化した上で、オリジナリティを出してくるからたまったものではない。
超ハイスピードで叩きまくるのである(音のツブ立ちに関しては、全盛期のデニチェンの方が上ではあるけどね)。

4年前当時からそうだったが、彼が醸し出すふてぶてしさがまた良い。
ちょっと生意気な感じ。そうそうブルーノート東京がオープンした当初は、ジャズマンたちがいっぱい来日してくれていたが、中には日本のオーディエンスがなんぼのもんじゃい!みたいな空気を持ったアーティストもいたものだった。
あの空気をマイクは持っている。ちょっと懐かしさすら覚える。

あまりにも汗かいて叩きまくるせいか、2Lのペットボトルを2本ほど全部飲み干すほどの熱演であった。

ギターのコリンクック、ベースのマックスゲルも凄腕。
ギターこそソロが何回か用意されていたし、マイクはセッション中ずっとソロやってるようなもんなのでいいとして、ベースのマックスゲルは本編最後の曲でソロ回しが少しあったのみ。もう少し見てみたかった。

正式?なドラムソロは無しで終わるのかと思いきや、アンコールでやっとドラムソロ。
圧巻の中の圧巻。

ちなみにやっている曲調は、もはやジャズと呼べるようなものではなく、4ビートは1度たりとて登場せず。
(もちろん、その気になればナンボでも出来るのだろうけれど)
メタル、ファンク、プログレ、フュージョン、、、もうまぜこぜのものであった。
ヘッドバンギングしている人もいたほどだ。
じゃあメタルっぽいのかと言われると、リズムは6拍子だったり7拍子だったり9拍子だったり変拍子の嵐なのでそういうわけでもない。

というわけで、すごいすごいと記してきたが、じゃあ万人に勧められる類の音楽かと言うとそういうわけではない。
冒頭に書いたように、静と動の繰り返しだし(とくに内に入るキャメロンの静が長かった。。)、音楽楽しいぜ!皆で楽しもう!と鼓舞するようなショーでもないので、楽器が好きでない人にはツラかろう。
もう少しエンターテイメント性を加えて欲しいようにも思うが、客に媚びないこういう音楽もありだ。
質の良い音楽、であればいい。

それにしても、キャメロンはTシャツにジーンズだし、他のメンツもトレーナーだったり、ナイキのバッシュ履いてたり、入れ墨、アクセサリージャラジャラ、、、と、ブルーノート東京で演奏するミュージシャンの姿も本当に時代とともに変わってきたなぁと、21世紀を感じる次第であった。

マイク、さすがに引っ張りだこで、来月もまた別のアーティストのバックで来日する。
まだまだ荒削りな部分もあるけれど、全然それで良し。
もっともっと飛躍していくだろう。
今回とはまた違う種類の音楽をプッシュするマイクミッチェルを見ていきたいものだ。


カウンターには先日亡くなったライル・メイズの遺影が…哀しい



キャメロンの最新作。8月にも新作が出るとのこと。

Planetary Prince


スタンリークラークバンドでの勇姿

MESSAGE


マイクミッチェルのソロ。音のデカさが伝わらない。やっぱりライブで観ないとね。

ハービーハンコックのアイオブザハリケーンを現代バージョンで

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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