ありがとう!ライル・メイズ

恐らく今頃、世界中のパットメセニーグループファンが、’80〜2000年過ぎくらいまでのメセニーグループの楽曲を聴きまくっているのではないだろうか。

突然の訃報。
聞いた時、絶句してしまった…

Noted Jazz Keyboardist Lyle Mays Dies at 66

パット・メセニー・グループで活躍 ジャズ・ピアニストのライル・メイズ死去

いつの日か、またメセニーと共に演奏するライルを見れることを期待していただけに、いや、メセニーと一緒でなくてもライル単体でもぜひ聴いてみたいアーティストだっただけに、本当に残念でならない。

もうすぐ発売されるメセニーの最新アルバムがどのようなものなんかはまだ未知数だが、往年のファンであれば、ここ10年くらいのメセニーサウンドに何かが欠けている、、、と誰もが感じているはずである。
それはどうしたってライルのピアノ/キーボードであった。

メセニーグループ以外の活動があまり知られていないというか、どういう事情かは分からないが実際に他のミュージシャンと交流したり、来日したりすることがなかったから、メセニーのファン以外の人たちからはほとんど知られていないと言ってもいいだろう。

けれど、この人ほど過小評価されているアーティストはいないのではないか(決してメセニーのファンは過小評価してないけど)。
とにかく難解すぎるメセニーの楽曲(というか、自身の楽曲でもあるけれど)をいとも簡単に弾きこなすだけでなく、大空へ飛翔するような気持ち良いソロを毎度取れるのはこの人しかいない(時にはメセニー以上のソロを取る)。

さらにそれは誰かのマネでもない。どっから切り取っても一発でライルメイズと分かるピアノ/キーボード。
聴いてるともうむちゃくちゃ気持ちいいったらありゃしない。

思えば、最初にメセニーグループの音に出逢ったのは、姉が持っていたアルバム「Letter from home」のカセットテープ(!)だったが、ラジカセから1曲目「Have you heard」の1音が出た時に、部屋の空気が変わり、中学生の多感な時期のぼくに衝撃を与えた。
その衝撃の1音こそライルのピアノだった。
そこからの長い長いお付き合い。
高校の頃、受験勉強中、大学に入ってサークルで、その後の人生、自身の結婚式でも「Better Days Ahead」を演奏したくらいである。
もう何度聴いてきたか分からない。

もちろん、御大将メセニーこそがグループの核には違いないのだが、間違いなく影で支えまくっていたのがライルであり、スティーブロドビーであった。

ソロをとるには難しい「Better Days Ahead」で自由自在に弾きまくるライル。
これまた難解な愛聴曲「Third wind」でも飛翔しまくるライル。
「Are you going with me?」で、「Straight on red」で、シークレットストーリーの楽曲群で、ファーストサークルの楽曲群で、長大曲「The way up」で、、、ライルのピアノはいつも美しく鳴り響いていた。
楽曲「Letter from home」のピアノは、コピーさせてもらって今でも大事に弾いている。

高校の時だったか、ライブアンダーザスカイの大阪で見たのが最初。
このブログには書ききれていないが、その後上京してからは、アルバムのツアーごとにホールで聴くことができた。
そして、メセニーこそ何度かブルーノート東京に出演していたが、唯一回、ブルーノート東京にライルメイズが出演してくれたのが2009年。
この時のブルーノート東京ライブが最後になってしまった。

Live鑑賞 〜 Pat Metheny Group Live at BlueNote Tokyo 2009

公式な記録は分からないけれど、メセニーグループとしてジャズクラブに出演するなんてのは恐らく後にも先にもこの時限りだし、この時までにすでに30年近く世界中で死ぬほど演奏してきたメセニーとライル、ロドビーが共演したのもヘタするとこの時の東京が最後だったのではないか。

他のジャズジャイアントたちと同様、音源は数多く遺されている。
が、もう二度と新たな演奏を見ることはできない。
世界中のメセニーグループファンがあと1回くらいは元祖メセニーグループでライブを見れると思っていたろうから、それが叶わなくなったのは途轍もなく残念であり、ライルのいないメセニーグループはありえないので、突如としてメセニーグループの終焉を突きつけられたことが悔しくてならない。

ともあれ、ライルは病気だったようで、66歳と若いのが残念だけれど、本人こそつらかったろうから安らかに…である。

素晴らしい演奏をいっぱいいっぱいありがとうございました。
どうぞ安らかに。
そしてこの先も、ずっとずっと聴き続けていきます。
合掌。

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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