Live鑑賞 〜 小曽根真トリオ featuring Christian McBride & Jeff “Tain” Watts Live at BlueNote Tokyo 2012

2012年9月17日。

小曽根真トリオ featuring Christian McBride & Jeff “Tain” Watts Live at BlueNote Tokyo

Makoto Ozone(p)
小曽根真(ピアノ)
Christian McBride(b)
クリスチャン・マクブライド(ベース)
Jeff “Tain” Watts(ds)
ジェフ“テイン”ワッツ(ドラムス)


☆セットリスト
1.Bouncing in My New Shoes
2.Nova Alvorada
3.Gotta Get It !!
4.Longing For The Past
5.My Witch’s Blue
6.Take The Tain Train
<アンコール>
7.Goldaze
<ダブルアンコール>
8.That’s All


小曽根さんの恒例ブルーノート東京ライブ。
今年は、現代Jazz界最高峰のリズム隊の一つと言っても過言ではない、
クリスチャンマクブライド&ジェフワッツ先生を迎えての豪華トリオである。


先日の東京Jazzでもこのトリオで出演していたが、
こういうトリオはやはり大きなホールではなく小さなハコで見るべきである、
というわけでブルーノートへ。


僕はちょくちょく小曽根さんのピアノを拝見しているが、
去年は宅間孝行師匠出演の舞台「欲望という名の電車」に出ている小曽根さんであり、
或いはブランフォードマルサリスカルテットのアンコールゲストとして出てきた小曽根さんだったり、
ロイヘインズグループのピアニスト急遽帰国の代打に起用された小曽根さんだったり、
2007年にはマイクスターングループに加わった小曽根さんだったり。。。てな感じで、
実は自己名義のちゃんとしたトリオの小曽根さんを見るのはかなり久しぶりである。


小曽根さんはガンガン弾きまくる、といったタイプのピアニストではない。
いや、実際には弾きまくっているのだが全てに確実に「上品さ」が漂っているので、
ガンガン弾く印象がない。
演奏も上品にまとめてくる、といった感じ。


さぁ、そこで。。。である。
僕が演奏前に抱いていた懸念は、果たして小曽根さんのピアノが重量級リズム隊と合うのか、ということである。


ジェフテインワッツは僕の好きなドラマーであるが、
マイケルブレッカーであったりケニーギャレットであったりブランフォードマルサリスであったり、
といったホーン奏者の後ろから猛烈に煽りまくるドラミングこそ彼の真骨頂なわけで、
それが小曽根さんとマッチするのか。
ともすると「手を抜く」のではないか。
そこまでいかなくとも、抑制したドラムを叩くのではないか。
(実際近年のマッコイタイナーとの演奏では、老いたマッコイに対してかなり抑制して叩いている)


ところがこの心配は杞憂に終わる。
’80年バークリー音大からの友人ということもあり、
小曽根さんとジェフのドラムは見事に融合していた。
ジェフが手を抜くなぞ誰が言った?
むしろ今まで僕がジェフを見た中で一番真剣だった気さえする。


ジェフはピアノトリオでもそこまでやれるか、と思うほど叩きまくり。(でもうるさくない)
ホーン抜きでここまでやるジェフを初めて見た。
そして先日見た同じ黒人のマービン“スミッティ”スミスよりもツブ立ちが綺麗なドラミング。
そしていつものジェフワッツ独特の4ビート崩し打法。
これが誰も真似出来ないんよなぁ。


小曽根さんにもナベサダさんにも上原ひろみ嬢にも言えることだが、世界で通用するような日本アーティストは作曲のセンスもあるということ。
小曽根さんのそれはジャジーさと上品さと格好良さが総合されたもので非常に聴きやすい(演奏するのは大変な曲もあるだろうが)。


クリスチャンマクブライドはことあるごとに観ているが、相変わらずどっしりと上手いねぇ。
今日は全くエレキは弾いていないけれど、エレキ始めたのが9歳、アコースティックベースが11歳やねんて。
幼稚園くらいから楽器をさせても日本からなかなかいいミュージシャンは出ませんなぁ。
上原ひろみは奇蹟だ。


3人に共通して言えることだが、真剣なんだけどスゴく楽しそう。
ニコニコゴキゲンである。
高度な事を連発しているのに、楽しそうにやってのけるからスゴい。
まさにプロ。


アーティストによっては、1曲を特に盛り上がったり変化を付けることなく何十分も演奏する人もいるが、
そこは小曽根さん、緩急をつけつつどの曲も10分前後で終わらせる。
非常に満足度の高いライブだった。


そしてなんと言ってもビックリは、
アンコール前に小曽根さんのMCで紹介され、客席に見に来ていたアンドレプレヴィン


クラシック界の方が有名かもしれないが、
僕としては高校の頃から聴いていたJazzピアニストとしてのプレヴィンの方が馴染み。
シェリーマンとの「マイフェアレディ」は名盤。
小曽根さんは「この人のラプソディインブルーを超えるものはない」とまで仰ってました。
御年83歳。
まさか見られるとは思っておりませんでした。
今はN響の主席客演指揮者なんですな。
さすがに最近は学生当時と違ってサインを貰う事が少なくなってきてるけど、
思わず手帳にサインを貰ってしまいました。
コレはある意味ムチャクチャ貴重。



終演後は、ロビーでトリオのサイン会。
少しの間小曽根さんと話す機会も得られ、
演奏も終演後も期待以上にステキでハッピーな一夜でした。


このトリオによるアルバム

マイ・ウィッチズ・ブルー

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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