Live鑑賞 〜 Pat Metheny Group Live at BlueNote Tokyo 2009

2009年1月8日。

Pat Metheny Group Live at BlueNote Tokyo

Pat Metheny(g)
パット・メセニー(ギター)
Lyle Mays(p,key)
ライル・メイズ(ピアノ、キーボード)
Steve Rodby(b)
スティーブ・ロドビー(ベース)
Antonio Sanchez(ds)
アントニオ・サンチェス(ドラムス)


ついにこの日がやってきたと言おうか。
絶対実現不可能と思えたパット・メセニー・グループの世界初のジャズクラブ公演である。


世界初で、なおかつ年末年始を挟むだけに、やはり各国からファンが来ているようだ。


いつもなら19時くらいに到着してセカンドステージの受付をしてもかなり前が陣取れるのだが、
15時過ぎにブルーノートに行ったらすでに受付が開始されており、それでも47番目。
どないやねん。


セットリストは毎夜違うらしい。
30日~8日までの長期ライブで、1日、2日は休みにも関わらず、2日はリハで練習をしていたらしい。29日、2日のリハは朝10時から深夜1時までやっていたらしい。なんという練習量。曲目は40曲用意していたとのこと。
今日のライブが終わると明日、明後日は名古屋ブルーノートライブ。あれだけの機材を今日中に運んでライブするという超絶スケジュール。


メセニーやアントニオ・サンチェスは何かと他のバンドでブルーノートに来ているが、
なんといっても注目はライル・メイズ師匠とスティーブ・ロドビー師匠である。


普段のメセニーグループではパーカッションを筆頭にどんな楽器をも演奏する言わば「なんでも屋」が2名ほどいるのだが、
それがなくて純粋にカルテット編成でどこまでメセニーグループの曲を再現出来るのかに注目である。


果たしてそれはいとも簡単に再現されていた。4人で倍以上の音を出していた。
以前僭越ながらコピーバンドをやった時に分かったことなのであるが、メセニーグループの核というか、
通常のバンドでいうドラムの役割はベースが担う。
ドラムはベースという土台の上で自由自在に這い、泳ぐ。
そしてその上をライルメイズ師匠のピアノ/キーボードが自由に舞い、飛翔する。


メイズ師匠のピアノは、マッコイタイナーのピアノをベースにした感じでありつつもマッコイの豪快さをそぎ落として、繊細に優美に舞う感じだ。


そして、その上を御大メセニーがさらに飛ぶ。そしてソロの間に何回も「イク」。
ソロのポイント、ツボを抑えているから聞いていて難解な曲なのに本当に心地よい。


相変わらずとんでもないクオリティを誇る、世界屈指のグループだ。


セットリスト

1.HAVE YOU HEARD
2.BETTER DAYS AHEAD
3.SO MAY IT SECRETLY BEGIN
4.GOODBYE
5.WHEN WE WERE FREE
6.THE ROAD TO YOU
7.THE END OF THE WORLD
8.PROOF
(encore)
9.MINUANO


1.Have You Heard
この曲をブルーノートで聞けるとは思わなかった。
学生時代にサークルのメンバー4人で果敢にチャレンジした思い出が甦る。
メロを聞くだけでもう泣けてくる。


2.BETTER DAYS AHEAD
この曲も当時チャレンジした曲。
まさかやってくれると思わなかった。ちょっとテンポを遅めにしてやっていた。これまた泣けてくる。


3.SO MAY IT SECRETLY BEGIN
7拍子、9拍子(通して16拍子でも良いが)の連続という超難解曲ながら、
聞きやすいメロ、泣けるメロに仕上げているのはメセニーならでは。
9年前のトリオの時も演奏していて泣けてきたのを思い出す。


4.GOODBYE
バラード。ここでもメセニーがイク。


5.WHEN WE WERE FREE
よもやの迷盤「Quartet」からの選曲であったが、これがまた盛り上がった。
個々が壮絶なソロを取る。
アントニオサンチェスのソロとしての見せ場はこれのみだった。


6.THE ROAD TO YOU
バラード。相変わらず泣かせるメロ。


7.THE END OF THE WORLD
まさかこの曲もやるとは思わなかった。
アルバム「WE LIVE HERE」より。完全打ち込みの曲なのに4人で見事再現。
盛り上げるわ、雷の音は出すわ、
ライブなのに最後はフェードアウトして終わるというメセニーグループお得意の妙技を披露。


8.PROOF
これまたよくぞこの曲を4人でやるわ!の曲。
相変わらず全員のダイナミクスの付け方が凄いの一言。


9.MINUANO
何度聞いても泣けるメロディー。歌ってしまうメロディー。
メセニーファンにはお馴染みの曲。


前日はアンコールを2回やったらしく、この日も15分くらいアンコール後の拍手が鳴り止まなかった。
全員スタンディングオベーション。
しかしメセニー達が出て来ることはなく、残念。


他の日にセットリストを見るに「James」とか「Lone Jack」とかもう聞きたい曲は死ぬほどあるのだが、
それでも十二分に満足な新年一発目のライブであり、
恐らく今年のライブMVP候補となる演奏でした。


メセニーはあまり過去を振り返る演奏をしてこなかっただけに凄く貴重で、
もう二度とやってくれないかもしれないけれど、
また、また、ブルーノートに来て欲しいなぁ。
という思いもあり、でもしかし、アーティストとしてさらに進化したパットメセニーグループを見てみたい気もするのでありました。


この公演中の特別カクテル「THE P.M.G」
シャルトリューズベース。

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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