Live鑑賞 〜 Tribal Tech Live at BlueNote Tokyo

2013年3月8日。

Tribal Tech Live at BlueNote Tokyo
トライバル・テック Live at BlueNote Tokyo

Scott Henderson(g)
スコット・ヘンダーソン(ギター)
Scott Kinsey(key)
スコット・キンゼイ(キーボード)
Gary Willis(b)
ゲイリー・ウィリス(ベース)
Kirk Kovington(ds)
カーク・コヴィントン(ドラムス)


セットリスト
1.NITE CLUB
2.SIGNAL PATH
3.ANTHEM
4.GOT FAITH ‘N PHAT
5.PALM MOON PLAZA
6.BOAT GIG
7.FOREIGN AFFAIRS
8.FACE FIRST
9.THE BIG WAVE


スコットヘンダーソン、そして彼とゲイリーウィリス率いるトライバルテック。初見である。
僕がもし学生時代にモダンジャズ研究会だとか、他のジャズ研的なサークルに入っていたらこのバンドを恐らく知らないままだっただろう。
いや、フュージョン系サークルに入ってはいたけれど、たまさか先輩たちがこのバンドのコピーをやったりしていなかったら知らないままだったかもしれない。
それほどに、ジャズの文脈には出て来ないし、フュージョンだったとしても爽やか系とは一線を画す、マニアックなバンドである。


僕はこのバンドの音、とりわけスコヘン独特のコード進行を耳にすると、学生時代の「あの頃」を思い出す。
サークルのライブだったり、合宿だったり。
普通だったら「泣く」要素なぞ微塵も無いライブなんだけれども、僕にとってはそういう思い出も込みでちょっとウルッと来てしまうのである。
これがまたマイクスターンのように毎年来てくれるアーティストだったら違うのかもしれないが、何せこのバンド、見たかったのに来日も10年ぶりくらい。前回の時は観ていない。冒頭に書いたように初見なので、未だ見ぬ強豪のライブを10数年越しでやっと観れた、というわけである。
どうやらメンバー全員がL.Aにある音楽学校のMIの先生らしい(今もやってるかどうかは不明)ので、先生業が忙しかったからかもしれない。


たった1日限りのブルーノートライブ。
僕はこれほどマニアックなバンドなので、そんなに客入りは期待していなかったが、ナメていた。
1日限りだからこそ、そして恐らく地方公演なんかも無いため、超満員。
やっぱり東京の底力というか、知ってる人は知ってるんだねぇ。
ただし、客層は当初予想していた通り、プレーヤー系の人、音楽業界っぽい人、外人さんが多し。
そして女子率かなり低し。付き添いで来ている系の女の人以外、ほとんど男である。
まぁ確かにムチャクチャ男っぽいサウンドである。
ご他聞に漏れず、私のいたサークルの先輩、後輩などもいたし、知らないだけで同サークルの世代違いの人たちも見に来ていたのではなかろうか。


さて、どんな演奏/ライブだったか。


僕の第一印象としては“硬い”。硬ったい、硬ったいフュージョンである。
カチンコチンのフュージョンだ。
ハイパーテクニカルフュージョンバンドという称号は全くもって嘘ではない。


そして、「遊んでいるようで遊んでいない、遊んでいないようで遊んでいる」演奏であった。
分かりにくい表現かもしれないが、分かる人にはこの言葉で演奏の雰囲気は掴んでいただけると思う。


もう一つ、一緒に行った友人は学校の先生をしているのだが、終わって一緒のサークルだった先輩に会い、その先輩の開口一番の一言
「学校の先生がこんなの聴いちゃダメなんじゃないの??」
っていう感じの演奏である。
これまたこのライブを言い得ている一言である。


スコヘン。
初めて見たが「ギターっちゅうのはこうやって弾くんじゃい」っていう感じの弾きっぷり。
僕はギターの技術的なことは分からないのであるが、とにかく弾きっぷりがカッコいいの一言。
ギター弾きの後輩の話によれば「こんな音はスコヘンじゃないと出ない」のだそうである。
音はほとんどPAを通さず、アンプからの生音。
ロックコンサートか!っていう感じの弾きっぷりなのであるが、出てくる音はロックじゃないのだわこれが。
Tシャツにジーンズ、ナイキのスニーカーという出で立ち。
歳なんて関係なく、若い。


ベースのゲイリーウィリスは、このバンドとは別名義でのアルバムも数枚持っているが、意外と冷静に淡々と弾くのね。
でもグルーヴと、ともすると暴走しそうなドラムを支配する力がハンパない。


ドラム、カークコヴィントン。
見てみたかったドラマーの1人。
太っているというのはジャケット等を見ても知っていたが、いやはや、予想以上に太っている!

筋肉だか脂肪だか分からないが腕っぷしがムチャクチャ太く、豪腕で叩きまくる。
僕はサイドから見ていたので叩いてる表情が見られなかったのが残念。
でも「エエ顔」で叩いていたんじゃなかろうか。
スティックの持ち方も、サイドから見ていた感じだと独特で、およそ教科書通りではない。
指でスティックをコントロールしてなくて、親指と人差し指の間にスティックを差し込んで、あとは筋肉任せで叩いてるように見受けられた。よくぞあの持ち方であんだけ速く叩けるものだ。
とんでもない技術を持っているわけじゃないのだけれど、タイトで音がデカい。
このバンドにはピッタリのドラマーである。他だとちょっと使いづらいかもね。


ダラダラと1曲を続けるのではなく、長くても10分程度で1曲1曲を演奏していく。
4人とは思えない音圧。
キーボードのスコットキンゼイも弾きまくる。4者4様で、それぞれの立ち位置とかステージキャラがハッキリしている印象を持った。
で、この音圧はやっぱりCDでは絶対味わえないもの。ライブならでは。


客席は大盛り上がりで、ダブルアンコールにも応えてくれた。
アンコールはFace First。ダブルアンコールでBig Waveと客が望んでいる曲をきっちり披露。
個人的にはもっと他に聴きたい曲があっただけに、ブルーノートさん、この日の盛況に味を占めてまた来年も呼んでくれないものかねぇ。。。

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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