Live鑑賞 〜 渡辺貞夫 “MBALI AFRICA” featuring Richard Bona Live at BlueNote Tokyo

2012年12月16日。
年の瀬に世は衆院&都知事ダブル選挙の日。

渡辺貞夫 “MBALI AFRICA” featuring Richard Bona Live at BlueNote Tokyo

Sadao Watanabe(sax)
渡辺貞夫(サックス)
Richard Bona(b)
リチャード・ボナ(ベース)
Etienne Stadwijk(p)
エティエンヌ・スタッドウィック(ピアノ)
Takashi Yofu(g)
養父貴(ギター)
Obed Calvaire(ds)
オベド・カルヴェール(ドラムス)
Steve Thornton(per)
スティーブ・ソーントン(パーカッション)
N’Diasse Niang(per)
ンジャセ・ニャン(パーカッション)


<セットリスト>
1.MBALI AFRICA
2.AFROZIL
3.TEMBEA
4.BAGAMOYO – SANGOMA
5.I THOUGHT OF YOU
6.PONDA
7.BASIE’S AT NIGHT
8.WIND & TREES
9.EPISODE
10.KARIBU ~ ORANGE EXPRESS
11.CHRISTMAS DREAM


音楽、そしてライブと一口に言っても色んなものがある。
ノリノリ大爆発なものもあれば、静聴するもの、う〜〜んと考えさせられる哲学的なもの、或いは芸能臭/お金儲け臭のプンプンするものまで様々。


そんな中で“音楽って楽しいものなんだ”って心底思わせてくれるアーティストはそんなにはいない。
そういうアーティストの音楽/ライブを聴くと、音楽ってもともとこういう楽しいもんなんよね、ってつくづく思う。
ボビーマクファーリンのライブなんかはその典型で、「音の出るもの」を全て利用し、時には音痴な人までもアリにしてしまって楽しいライブを披露し、音楽の素晴らしさを教えてくれる。


そんな数少ない「音楽の楽しさ」を実感させてくれるアーティストの1人が貞夫さんであり、リチャードボナである。
ストレートアヘッドなジャズをやる貞夫さんも素晴らしいけれど、どちらかというとアフリカサイド/ブラジルサイドの貞夫さんの音楽の方が「ごきげんだね!」を地でいく音楽を聞かせてくれる。
そしてもう1人リチャードボナである。
カメルーン出身。誰しもが彼のプレイを見ると圧倒されるであろう、超絶的なベーステクニックと独特な歌声、でもその超絶技巧を感じさせないくらい彼のライブは楽しい。
ずっと聴いていられる。
貞夫さんなどは芸能界という意味でも相当立場の上の人とも口をきけるほど重鎮であるが、やる音楽は芸能臭さが全然なく、純粋に楽しめる。
何よりやっている本人たちが楽しそうなことが絶対条件である。


さぁそんな二人が一緒にライブをやる、となればゴキゲンになること間違い無し。
さらにパーカッション2人付き、+ドラム付きとなれば、イヤが上にも期待値が上昇する。
このバンドとしては前日に渋谷のオーチャードホールでライブし、ブルーノートは急遽この1日のみのギグ。
超満員である。
僕なんかに言わせれば、オーチャードホールには悪いがどうせ見るならクラブで目の前で音圧を感じれた方が何倍も楽しいと思ってしまう。


こんなパーカッションだらけ。
秘密兵器満載。



さてさてライブの方であるが、期待値が高過ぎにも関わらず、やっぱり裏切らない内容であった。
ゴキゲンなライブ。


今年7月の貞夫さんブルーノートライブは、僕自身が入院していて見ることが出来なかったために今年の貞夫さん詣では諦めていたのだが、まさかこんな素敵なメンツのライブで出会えるとは思っていなかった。


まずは貞夫さん。
活動は60年を迎えジャズでも芸能でも重鎮中の重鎮にも関わらず、若々しい。
特に今回のようなアフリカ/ブラジル系の音楽をやっている時はしっかりリズムを刻み、心から音楽を楽しんでいるようにみえる。
来年80歳になるとは思えない。
このグループで水/木は名古屋、金は大阪、土はオーチャードホールで今日。
さらに来週火曜日は帯広とハードスケジュールにも関わらず元気元気。
一発で貞夫さんと分かる音も相変わらず健在。
もちろんそれらも『練習とは追究。そして、本番を楽しむための準備』という貞夫さん本人の弁の賜物だろうけれど。


ボナと貞夫さんの関係は古く、まだボナが世に今ほど認知される前から貞夫さんはバンドでボナを起用していた。
幼少の頃から貞夫さんの音楽を聴いていたというのが分かるほど、今回のボナの貞夫さんを見る目からは畏敬の念が分かる。
そして自分のバンドであればやりたい放題なほどに前へ出ていく(スターンのバンドの時もそうだ)のだが、このバンドではバッキングに徹し、出るところは出、抑えるところは抑えるプレイにしていた。
こんなボナを見られるのもそうそうない。
もちろんもっともっとボナショーを見れるんだけれど、それをやっちゃうと音楽の統制が取れなくなっちゃうから今回は無しで正解。


曲はバラードもあったけれど、基本的にはアフリカ系のリズムがドカドカくる音楽で楽し。
中でもKARIBUとかORANGE EXPRESSが聴けたのは嬉しかったね。


もちろん素晴らしいライブではあったんだけれど、個人的にはパーカッションもドラムソロもボナのベースフューチャーももう少しずつあって欲しかった感じ。
パーカッション2人の掛け合いなんかもあるにはあったが「もっとイケるやろ!」と思ってしまいます。
あと一点、ドラムのオベド・カルヴェールは小気味良くて上手かったなぁ。
4ビートを叩く部分は少ししかなかったけれど、恐らく4ビートを叩かせても上手いはず。


そういうもっともっと!の聴く側の勝手な欲は残りつつも、賑やかな中に統制の取れた(つまり音楽がどこにいくか分からない危うさは存在しない)、ゴキゲンな今年のライブ納めとなりました。

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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