カッパ寿司でお昼ご飯を食べた。
鼻唄まじりにお寿司を食べていると。
入り口で中年の男性がなにやらごねている。
かなりご立腹な様子だ。
単価の安い店でごねる人は好きじゃない。
お昼時。込んでいるのは仕方の無い事。
そこに割り込みたがってるご様子。
理由は車いす。。。
どうやらその男性の奥様が車いすに乗っていらっしゃって、体調が良くないから、
先に入れろみたいな感じの内容。
弱い人を優先することには大賛成だ。
当然のことだと思う。
けれど、それを傘にして厚遇を主張する人は嫌いである。
私は、もう10年以上も前のある出来事を思いだした。
当時、某人気アイドルグループのコンサートの運営に携わったことがあった。
ファン達は少しでもいい席で見たいので、健常者なのに障害者のふりをして、優先席で見ようとする悪質な事案が横行していた。
そこで、かなり厳しいルールのもと優先席に入れる人をジャッジすることになっていた。
現場の下っ端の私はその厳しいルールの中、好みの女の子に罵声を
浴びせられながらも仕事故、嫌われる仕事をこなしていた。
上からの締め付けも厳しい。
そんな中。一人のお母さんが私のところにやってきた。
遠くには一見すると健常者にも見える男の子。
『ちょっといいですか。』とおかあさん。
私を通路の先の、人目につかないところに呼び出した。
そして、泣きながら事情を話し始めた。
聞くと、その子がコンサートを見られるのはこれで最後になるかもしれない。
あと1年も生きられないらしい。
『大好きなOOOOを最後にみせてあげたいんです。』
そうお母さんは泣きながら言った。
五感で感じたとしか説明できないが、
話が噓だとは思えない。
そして私に権限など無い。
私は、わかりましたといい。
少し待ってもらった。
権限者に相談したところ、様式がそろっていないということでルール通りに処理するようにと言われた。
つまり事前に医師の診断書等を添えて申し込みをし、承認を受けていなければ案内できないというものだ。
当然の判断だった。処理しきれないくらいの事案を短い時間に集中的に処理しなければならない。
『わかりました』と私は答えて親子のところに戻った。
『こちらへどうぞ。』
私は、自分の掌握するエリアの優先席の一番いい席に彼らを案内した。
明らかな越権行為だ。
それどころか、権利がないのだから無権で行為を行っており背任罪に該当する。
けれど、このエリアの運営を形式的に掌握しているのは私だから、まず問題にならないだろうと判断した。
本番中。人生最後になるかもしれないコンサートをめいっぱい楽しんでいる彼の顔をみて、
私は、正しい事をしたと思った。
彼はもう亡くなってしまったのだろうか。
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