心のバランスをとろうとしているらしい。
そして、私はもう何時間も眠れていないせいだろう。
思考が変になってきた。
楽しい思いの後に、ふと淋しい事実を思い出す。
頭が極限まで疲労している。
私はいつもこういう時に、戦場で極限状態にある兵士を思い浮かべる。
命をかけて、愛する者を護る為に戦士は戦場にいった。
補給路は断たれ、食べるものもロクにない中。
戦士は泥水すすり、草を噛みながら戦った。
戦士の胸には、恋人の写真が大事にしまわれている。
卑怯者は、兵役を逃れる為に賄賂を使い、後方支援で農夫として過ごす。
戦士の恋人は戦時中の心細さから、身近に居る農夫が親切にしてくるのについ頼ってしまう。
やがて、戦争が終わり負傷した戦士が街にもどると、恋人は農夫と一緒になっている。
ベトナム戦争の頃のアメリカでも同じようなことがあったという。
現代においても、そういう事は起こりうるかもしれない。
いつの時代も戦士とは切ないものだ。
今。戦争は悲惨だと言うことだけを主張しているだけの人達が、かつて農夫の側にいたことも忘れてはならない。
戦士はみんな死んでしまったのだ。
そして戦士の心も。
そうして死んで行った兵士達は、本気で愛する者の為に命を賭したのだ。
本当にやさしい戦士は、愛する者の背中にそっとさよならを言い、愛する人のために散っていくのだ。
これを、武士道という。
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