Live鑑賞 ~ aiko Love Like Pop Vol.22 at 東京ガーデンシアター

2021年6月9日。

以下、aiko Love Like Pop Vol.22ツアーは現在開催中のため、ネタバレを含みます。
ご注意ください。




aiko Love Like Pop Vol.22 at 東京ガーデンシアター



出演:
aiko(vo)

佐藤達哉(key)
設楽博臣(gt)
浜口高知(gt)
須長和広(B)
佐野康夫(Ds)

山本公樹(Sax)
庵原良司(Sax)
小林太(tp)
川原聖仁(tr)

室屋光一郎(1st vln)
大槻桃斗(2nd vln)
渡邊達徳(viola)
檜山百合子(violincello)



<Set List>
1.Last
2.一人暮らし
3.ハナガサイタ
4.横顔
5.No.7
6.愛で僕は
7.磁石
8.瞬き
9.ばいばーーい
10.しらふの夢
11.シャッター(曲調かえたライブバージョン)
12.テレビゲーム(曲調かえたライブバージョン)
13.青空
14.予告
15.メロンソーダ
16.夢見る隙間
17.58cm
18.あたしの向こう

アンコール1
19.ハニーメモリー
20.ストロー
21.いつもいる

アンコール2
22.Loveletter
23.ボーイフレンド


aikoのライブは、2019年8月30日のシアターコクーン以来。
Live鑑賞 ~ 立川談春 35周年記念公演 ~玉響-tamayura~ 第四夜 ゲスト aiko at シアターコクーン
ただし、この時のライブは、立川談春師匠とのコラボライブだったので、単独でのライブとなると、2018年11月30日以来である。
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.20 Live at NHKホール その2

aiko自身は、昨年初頭のLove Like Rock vol.9ツアーが途中で休止に追い込まれ、その後配信ライブ等はあったものの、お客を入れてのライブが今年に入ってやっと発表され、5月の東京八王子公演からやっとやれる!というタイミングで緊急事態宣言。休止→延期。
その後、大阪、札幌2Daysもすべて延期。。。

という中で、緊急事態宣言の渦中であるものの、ガイドラインにしたがって、やったれ!!の勢いで、満を持してのこの東京2Daysが久方ぶりのライブである。
実質的な、初日と2日目というわけだ。
しかも当初は19時開演予定が「公演は21時までとする」という意味不明なお上のお達しによって、18時開演に変更。
これによって泣く泣く来れなくなってキャンセルした人もいるだろう。
2000年12月の渋谷公会堂がaikoのライブ初見だから、かれこれ20年見続けているけれど、ライブをやるというだけでこれだけ艱難辛苦になるのはもちろん初めてのことであり、aikoに限らずエンタメ界最大の危機だとあらためて思う。

それなりに売れているアーティスト/ミュージシャン本人はなんとかなるかもしれんけれども、ライブをやろうとすると、ことそこそこ大きな会場でやろうとする場合、裏を支える様々な職種の人たちがいるわけで、コロナのアホのせいでその仕事が皆なくなってしまう。
緊急事態だろうがなんだろうが、そういった人たちを支えるためにも「やったれ!!!」の精神は必要なんじゃないか。
なんちゃら警察がガタガタ言うかもしれんけれども。

さて、そんな中で開かれ、皆が待ち望んでいたライブだから、ライブが出来ることそのものを皆が噛み締めて、それだけでもう満足感が場内を包み込んでいるのがよく分かる、そんなライブだった。

筆者的には、コロナ禍でのライブは昨年12月にKIRINJIのNHKホールですでに経験済みだけれども
KIRINJI LIVE 2020 at NHKホール
それでもKIRINJIの場合、そこまで皆がワーキャーするライブではないわけで(もちろん皆総立ちで、楽しんではいたが)。。。

翻ってaikoのライブの場合、有名な「男子〜〜〜!!」「イエ〜〜〜!!」「女子〜〜〜!!」「イエ〜〜〜!!」「そうでない人!!」「イエ〜〜!!」等の掛け合いだったり、客が「aiko〜〜〜〜〜!!!!」と声援を送ったり、当ブログでも以前から記しているように客との対話をさんざん楽しむ新宿末廣亭状態になるのが醍醐味なわけで、コロナ禍でそれが全くできないライブがどのようになるのか?そこが大注目ポイントだった。

で、まず第一の感想としては、日本のオーディエンスすごい、である。
aikoのファンがお行儀がいいだけなのかもしれないけれど、ぼくはそうとも思えない。
おそらく、どのアーティストのライブでも、ライブに来る以上、皆が皆、細心の注意をして、他の皆やアーティスト本人に迷惑をかけないようにしようという心構えで来ているように思うのだ。
だからもう、見事にみんな声援を送るのを我慢している。
手拍子と拍手と、手を振ったりするだけで、メッセージを伝えようとする。
直接プラカードなんかにメッセージを書いてきている人もいる。
み〜〜〜んな、心の中の声で大声援を送っていて、それがみんなの耳にも声なき声として聞こえている。
だから、空気感として「めちゃ盛り上がって」いるのである。

そしてaiko側もそれだけで終わらせようとしない。
掛け声の交歓ができないのであるならば、別の手段で!と言わんばかり。
皆に地団駄踏ませたり、ポール牧師匠よろしく指パッチンさせたり、いくくる師匠(今いくよくるよ師匠)よろしくお腹ポン!!と叩かせたり、ぼんちおさむ師匠が「お〜〜さむちゃんでぇ〜〜す!!!」という前に「ううぅぅぅぅ〜〜〜」と喉の奥だけで唸るのを真似させたり、、、(出てくる師匠たちが古いのはaikoも45歳だから仕方ない)
とにかく、声を出せないなりに、他のあらゆる手段で盛り上げようとし、現にそれはそれで盛り上がるのだから大したものである。

今までならMC時にaikoにいっぱい声を投げかけて、質問なんかも含めて声の掛け合いもできていたけど、それももちろん無し。
でも、その代わりに客席でスマホいじらせて、スマホから専用サイトやTwitterを駆使して質問を受け付けて、その場でやる方式にしたり。
コロナ禍での新しい盛り上げ方をいろいろと模索して、まだまだ試行錯誤段階だろうけれども、それなりに成功していたように思う。

ライブ本編以外でも、チケットは全部スマホで、入場もそれをかざすのみ。
紙チケットがない分、客席一つ一つに紙チケットが置かれていたり。
そのチケットのQRコードがあって、読み取るとそこからアンケートとかオマケ映像とかセットリストが見れたり。
(今まではアンケートを書く人たちや、貼り出されたセットリストを写真とる人たちでかなり密だった)
当然入退場時は時間差だし、入り口出口で消毒液噴霧必須だし、8000人収容の会場だけど、約半分の4000人だし、と対策は徹底されていた。

いっぱい入っているように見えても実質4000人。

セットリストは1日目、2日目で全然ちがう。これもまたサービス精神。

1日目

2日目

どちらのセトリもいいけど、1日目の「ぬけがら」「シャワーとコンセント」なんかは聴きたかった楽曲。
また、本日のアンコール2回目はホンマに急遽アンコールに応えて、の形だったようでステージ上でラスト2曲「Loveletter」と「ボーイフレンド」は決めていた。 ボーイフレンドで締めるっていうのは、ライブハウスツアーのLove Like Rockではあるようだけれど、筆者の記憶ではほぼなく、それはそれで新鮮。

また、ホーンセクション4人、ストリングス4人もいて、最大でステージ上は14人。そこも豪華。音圧すごいので久々に音浴びをした感じで、この「熱」というものはオンライン配信ライブでは絶対に味わえない。やはり「ライブ」である。
これだけのメンツを揃えたら、他にももっともっと聴きたい曲があるけれど、21時で締めなければならず、きっちり20時56分にライブは終了。
でも、諸々引っくるめて「不満」に思った人はいないのではないか。そんなライブだった。

ドラムに関しても少し。
佐野さんは以前、何かのインタビューで
「曲が盛り上がるところに差し掛かってもできるだけ我慢してライドシンバルにはいかない」というニュアンスのことをおっしゃっていたように思う。
ライドシンバルとは、客から見て左側にある大口径のシンバルで、曲のAメロBメロのあたりはほとんどのドラマーが客から見て右側のハイハットでビートを刻むのだけれど、サビの部分/盛り上がる部分になると、メリハリをつけるためにライドシンバルを叩いて盛り上げることが多い。

本当に佐野さんはインタビュー通りのことをしているのか。
この日のライブでは、できるだけそのあたりもチェックして見ていた。
そしたら、なるほど、佐野さんはかなりの曲でサビの盛り上がりでもハイハットでビートを刻んでいるのだ。
曲の最後の最後とか、ソロのバックとか、要所要所じゃないとライドにいかない。
でも、全ての曲でそうしているわけではない。
中には1番のサビからライドを使用していることもある。
ということを踏まえると、恐らく佐野さんは、あくまでも「シンバルの音色/音量」を重視して、計算して叩いているのである。
まぁプロなんだから当然っちゃ当然、と言われればそれまでであるが、プロであっても、サビはライドでいく人は普通に多いので、なかなか個人的にも勉強になった。ハイハットの表現力と音量を舐めたらあかんで、である。

最後に。
終演後、時間差に分散退場させられつつも、余韻に浸りたいファンの人たちが、控えめに、あくまで控えめにではあるけれど、あちこちで超プチ打ち上げをやっている光景があった。
まったく飲食店がやっていない状況の中で、自動販売機の前でソフトドリンクでミニ乾杯している一幕もあった。

ライブは、ライブの中だけではない。
それぞれのアーティストの人たちに、それぞれのファンがいて、ライブ会場で集まって、ひととき普段の生活を忘れてその場でそのアーティスト/ミュージシャンの1ファンとして交流する場でもある。
その場は大切な、人にとって心底大切な「場」。
これもzoom飲み会とかでは絶対ムリな「熱」だ。
不要不急と言われるが、不急ではないかもしれないけれども、ぜっったいに「不要」ではない。
コロナ禍で、ライブを実施する是非はいろいろあるのかもしれないけれども、仮にこれだけ満たされて、コロナになったのであればそれで誰かを恨むことなし、な空気をオーディエンス全体から感じ取れたのも事実だった。

ともあれ早く、コロナが収束して、また「aiko〜〜〜!!」とか、思いっきり歌えるライブが帰ってくることを心から望む。

過去のaikoライブ鑑賞ブログ(Love Like Pop Vol.10以降のみ)
Live鑑賞 ~ 立川談春 35周年記念公演 ~玉響-tamayura~ 第四夜 ゲスト aiko at シアターコクーン
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.20 Live at NHKホール その2
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.20 Live at NHKホール
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.17 Live at 中野サンプラザ
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.15 add.at 横浜アリーナ
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.15 at NHKホール
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.14 at NHKホール
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.13 add at 代々木第一体育館
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.12 at NHKホール 2010
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.11.5 at 日本武道館 2008
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.11 at NHKホール 2008
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Rock Limited at Zepp Tokyo 2007
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.10 add.at 横浜アリーナ 2007
Live鑑賞 〜 aiko Love Like Pop Vol.10 at 中野サンプラザ




現時点でのaiko最新アルバム

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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