Live鑑賞 〜 矢野顕子×糸井重里 ふたりでジャンボリー Live at 新宿文化センター大ホール

2016年9月3日。

ふたりでジャンボリー~糸井が書いて矢野が歌う1101曲(の予定)~ Live at 新宿文化センター大ホール

矢野顕子糸井重里ポスター

矢野顕子糸井重里ステージ

Akiko Yano(p,vo)
矢野顕子(ピアノ、ヴォーカル)
ゲスト:糸井重里

<Set List>
1、CHILDREN IN THE SUMMER
2、しんぱいなうんどうかい
3、女、キラキラ。 男、そわそわ
4、Sleeping Duck
5、おいしい生活
6、クリームシチュー
7、へびの泣く夜
8、にぎりめしとえりまき
9、自転車でおいで
10、夕焼けの中に(新曲)
11、野球が好き(新曲)
12、ただいま
13、春咲小紅
アンコール:
14、SUPER FOLK SONG
15、SUPER FOLK SONG RETURNED(新曲)


矢野顕子さんは様々な形態でライブを行っており、ぼくの場合は毎夏のブルーノート東京ライブが定番で、それ以外でも弾き語りを何度か拝聴してきているが、いわゆる「1101曲(イトイ曲=糸井重里さんが書いた曲)のみでライブを構成するのはぼくが知る限り初めてなのではないか。


そういう意味では非常に貴重なライブであり、そして今宵は作詞家としての糸井重里も登場するということで超満員の観客が詰めかけた。


筆者個人的にも、今まで聴きたくてもなかなかライブで聴けなかった「CHILDREN IN THE SUMMER」や「しんぱいなうんどうかい」なんかを冒頭から聴けてとても満足。
そしてなんといっても貴重なのは、’80年代〜’90年代のバブル時にコピーライターとしてもブイブイ言わせていた糸井さんが、矢野さんと広告代理店とのコラボで創っていったCM楽曲群が聴けたこと。
「女、キラキラ。 男、そわそわ」や「おいしい生活」などがそれらであり、矢野さんとしても今日限りしかなかなか演奏することはないのではないかと思われる。


それぞれの詞のエピソードや裏話をまじえながら、そして歌詞をスクリーンに映し出しながら曲が演奏されていくのは見ている方もとても分かりやすく楽しめる親切設計。糸井さんらしいライブの持っていき方である。
そして矢野さんは音楽の質の高さで魅せていく。


それにしても2人の天才の詞と音楽は創作されて20〜30年経っていても全く色褪せることがない。
現代でも違和感なく響く。
それはまず2人が仰っていたように「年寄り/子供/動物/食べ物」のテーマが多いことがあるだろうし、糸井さんの書く詞が平易で普遍的な言葉でしか紡がれていないし、その上で矢野さんの書く曲が色褪せない響きを持つからだろう。
普通、これだけの天才2人が出会うとぶつかり合い過ぎて上手くいかないことも多々か、上手くいっても数回止まりなのだろうが、この2人は何十年もやり続けていられるという、奇跡としか言いようのない相性の良さである。


矢野さんが歌ってくれるなら糸井さんは書きたい、矢野さんは歌いたいから歌う、そしてオーディエンスは聴きたいから聴く。
まさに奇跡の三位一体である。


もうそれぞれの曲たちはぼく自身も思い入れがありすぎて、解説していたらキリがないほどだ。
アンソニージャクソン&クリフアーモンドとのトリオの時以来の演奏という「にぎりめしとえりまき」はやはり感動の名作。
「自転車でおいで」は曲の完成までに2人合わせて1時間かかっていないというエピソードにも仰天。
天才が調子が良くスラスラと描けてしまう時はそんな時間で出来た曲でもずっと後世に残るのだなぁ。


コピーライティングという、一言で老若男女問わずにメッセージを送らなければならないものの最前線にいた人なのだから、糸井さんが歌詞が上手いのは当たり前と言えば当たり前。
平易な言葉で語られる糸井さんの詞の世界は、本当に心に染み込み、泣かせる意図のない曲でも泣けてきてしまう。


新曲は3曲。
糸井さんの野球への愛情がこもった「野球が好き」は絶品。発売を願いたいところ。
また、名曲「SUPER FOLK SONG」の続編「SUPER FOLK SONG RETURNED」も歌詞を投映しながら最後に演奏。
さだまさしさんの「関白宣言」→「関白失脚」とはまた一味も二味も違う、矢野&糸井流の続編歌であった。こちらも発売を願いたい。


この2人と同時代を生きられて、曲が聴けて良かったなと存分に思わせてもらえる至福のひと時だった。

詳しくはこちらも参照のほど
糸井が書いて矢野が歌う日 – ほぼ日刊イトイ新聞

矢野顕子は糸井重里の言葉をどうやって歌にするのか? – ほぼ日刊ほぼ日刊イトイ新聞

矢野顕子糸井重里ステージ引き

矢野顕子40周年記念ベスト「矢野山脈」

矢野山脈 (完全生産限定盤)

アンソニージャクソン(B)・クリフアーモンド(Ds)との珠玉の「にぎりめしとえりまき」を聴くならこのアルバム

TWILIGHT~the“LIVE”best of Akiko Yano~

矢野さん入門編として個人的には一番オススメなのはこのアルバム

ひとつだけ/the very best of akiko yano

実は筆者が最初に出会った矢野顕子アルバムはコレ。死ぬほど聴いた。

ホーム・ミュージックII~ベスト

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Writer:オーシャン

コラムニスト:オーシャン幼少の頃より音楽を始めとしたあらゆるエンターテインメントに触れる機会を持つ。学生時代はフュージョン系サークルにもプレイヤーとして所属。→ [ 詳細 ]

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