姥捨て山

久しぶりに祖母にあった。

施設にいる。

最近何度か脳梗塞で倒れて容態がよくなかったものの

回復し今は車椅子で生活している。

認知症も進んでいるが、数ヶ月前にあったときには私をなんとか認識できていた。

 

昨日、久しぶりに訪問して顔をみた。

 

彼女はまったく私の顔に心当たりがないらしく

ずっと笑顔でお礼を言うだけ

中学を出てすぐに家出をしてたどり着いたのは

祖父母の暮らす地方都市だった。

 

そこで、ライブやコンサートを主催する興行屋で下働きをしながらカプセルホテルをねぐらにしていた日々。

たまに祖父母の家にお邪魔した時。

そこに住んでもいいとの提案をもらい、一緒に暮らした時期もあった。

この時期があったから、大検を取得できたし大学にも進むことができた。

 

感謝する。

今の私にはそれだけのことしかできない。

彼女の人生を思い。

私は何を思うべきだろう。

 

すこし浮かんだのは、認知症はきっと自然に彼女が生まれたところへ帰るための準備なのかもしれない。

 

そんなことを思った。

 

 

青木 真行

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